金属スクラップ解説(錫編)|錫スクラップの特徴・種類・具体的売却先を徹底解説!

こんにちは、非鉄ナビ運営事務局です。
本日は金属スクラップシリーズの最終回「錫(すず)」についてご紹介いたします。

錫ははんだやメッキ、合金などに使用される比較的レアな非鉄金属で、
スクラップ市場では「少量・高単価」の代表的な金属のひとつです。
それでは早速はじめていきましょう。


錫とは?特徴と性質

錫(Sn)は、融点が低く、酸化しにくく、他の金属と合金を作りやすい特性を持つ金属です。
古代から青銅(銅+錫)として使われ、現代でははんだ・メッキ・錫合金・電子部品として欠かせない存在です。


錫の主な特徴

  • 酸化しにくく光沢を保つ:酸素と結びつきにくく、長期保存に適している
  • 低融点(約232℃)で加工しやすい:はんだ・接着用途に優れる
  • 無毒性・安全性が高い:食品容器や装飾にも使われる
  • 音響特性が良い:一部の高級スピーカーや仏具にも使用される
  • リサイクルが可能で高単価:小ロットでも買取対象になることが多い

錫の主な用途と需要分野

錫の日本国内における用途構成比(概算)は以下の通りです。

用途分類構成比(目安)主な用途・発生源
はんだ材料約 50〜55%電子基板、配線、半田付け(電機・電子部品製造)
錫メッキ約 20〜25%食品缶、端子、スイッチ部品(めっき工場、食品容器工場)
錫合金(青銅・白銅・軸受など)約 10〜15%配管継手、仏具、美術品、ベアリングなど
化学用途・その他約 5〜10%スズ化合物、安定剤、装飾用など

錫スクラップの種類と発生工程

種類特徴主な発生工程
はんだくず錫・鉛(または鉛フリー)の合金。高純度品は高評価電子基板製造、半田付け作業現場
錫メッキ屑表面に錫をメッキした鉄・銅材。脱膜工程で回収可能食品缶、スイッチ、接点部品など
青銅くず銅+錫合金。彫金品や仏具、古建築部材などに多い美術品解体、金属加工
錫インゴット・純錫屑純度が高く溶解用にそのまま使用可能はんだメーカー、加工工場の切粉など
融解スラグ・残渣溶接やはんだ作業後に残るスラグ工場ライン、設備メンテナンス時

高価買取が期待できる売却先と具体企業

錫・はんだ製造メーカー/精錬企業

  • 三菱マテリアル株式会社 生野事業所

錫リサイクル・再資源化業者

  • 株式会社日本金属
  • 株式会社オーエム
  • 株式会社大阪鉛錫

高価買取を実現するための販売戦略

1. 小ロットでも評価される金属

  • 錫は高単価なので、数kgでも価値あり
  • 工場から出るはんだ屑・メッキ屑・スラグなどは都度査定の対象になることが多い

2. 分類と純度管理がカギ

  • 鉛入りはんだと鉛フリーは分けておくことで高単価に
  • 純錫・合金・めっき材は分別によって評価が大きく変わる

3. 市況と指標価格

  • 錫の相場は**LME錫価格(Sn)**に連動
  • 国際需給や電子部品業界の動向、EV関連の生産状況も価格に影響


まとめ

錫は、はんだ・メッキ・合金など様々な形で使用される高単価・小ロット対応型の非鉄金属です。
とくに電子部品や加工現場から出るはんだ屑・切粉・スラグは、リサイクル価値が高く、適切な分別と業者選びで高価買取が可能です。


これで金属スクラップシリーズは一通り完結となります。
今後も新しい金属や業界動向に応じた記事を更新してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。