こんにちは、非鉄ナビ運営事務局です。
金属スクラップシリーズの第5弾は「ニッケル」について解説します。
ステンレスや合金鋼、バッテリーなどに使用され、スクラップ市場では比較的高単価で取引される金属です。
それではさっそく始めていきましょう。
ニッケルとは?特徴と性質
ニッケル(Ni)は、鉄に似た銀白色の金属で、耐食性・耐熱性・合金特性に優れています。
ステンレスや高級鋼材の主成分として欠かせないほか、近年は**電池材料(リチウムイオン電池)**としての需要も急増しています。
ニッケルの主な特徴
- 耐食性が非常に高い:酸やアルカリにも強く、錆びにくい
- 耐熱性にも優れる:高温環境でも強度を保つ
- 合金性が高い:鉄・クロム・銅などとの相性が良く、用途が広い
- 磁性を持つ(純ニッケル)
- 再資源化価値が高い:ステンレスや高ニッケル合金はスクラップでも高価格帯
ニッケルの主な用途と需要分野
近年、ニッケルの用途は多様化しており、以下のような分野で使用されています。
用途分類 | 構成比(目安) | 主な用途・発生源 |
---|---|---|
ステンレス鋼材 | 約65〜70% | キッチン用品、建材、化学プラントなど |
高温用耐熱合金・特殊鋼 | 約10〜15% | タービン部材、原子力、ジェットエンジン |
電池材料(リチウムイオン) | 約8〜10% | EV・ハイブリッド車用バッテリー |
電気めっき | 約5% | コネクタ・部品表面処理(装飾・防食) |
その他(磁性材、合金材等) | 約3〜5% | コイン、磁石、電子部品など |
ニッケルスクラップの種類と発生工程
種類 | 特徴 | 主な発生工程 |
---|---|---|
ステンレス304・316系スクラップ | ニッケル含有量約8〜16%。最も流通量が多い | 厨房機器、建築資材、工場設備など |
ニッケル合金(ハステロイ・インコネルなど) | 耐熱性・耐腐食性に特化した高級合金 | 発電・化学・航空機関連 |
ニッケルめっき材 | 表面処理にニッケルを施した金属 | 電子部品、自動車部品の表面処理屑など |
純ニッケル(Ni99%以上) | 高純度で貴重。少量だが高単価 | 電池材料、磁性材料、特定産業用途 |
削粉・切断くず | 切削加工時に発生する粉状くず | 加工工場、精密機械加工業者など |
高価買取が期待できる売却先と具体企業
ニッケル系スクラップ受入企業・精錬メーカー
- 日本冶金工業株式会社
- 住友金属鉱山株式会社
特殊金属・レアメタルリサイクル業者
- 株式会社メタルドゥ
- センバ株式会社
高価買取を実現するための販売戦略
1. 等級・材質ごとの分別が命
- ステンレス(304/316)、高Ni合金、純Ni、めっき材など、混ざると評価が大幅に下がる
- 加工くず・削粉は油・切削液の除去が高単価につながる
2. 材質証明・分析表があると信頼度UP
- インコネル・ハステロイなどの高価なニッケル合金は分析書や刻印の提示で評価が大きく変わります
- 不明な場合はXRF分析機器で事前確認するのも有効
3. 相場の特徴
- ニッケル相場はLMEニッケル価格に連動(他金属より変動が大きめ)
- EV需要・中国の電池関連政策などが価格に影響
まとめ
ニッケルは、ステンレスや特殊合金の主成分として安定した需要を持つ金属です。
近年ではEV・蓄電池分野での使用増加により、リサイクル市場でも注目が高まっている素材といえます。
ニッケルスクラップは材質・純度によって価格差が大きく、正確な分別・材質把握・信頼ある取引先の選定が高価買取へのカギとなります。
次回は「錫編」を予定しておりますので、ぜひそちらもご覧いただけますと幸いです。
それではまた、次回の更新でお会いしましょう。