【2025年下期〜】非鉄6金属の相場見通し|アルミ・錫は上振れ余地、亜鉛は中立、銅は凸凹、ニッケルは政策次第

こんにちは、非鉄金属ナビ運営事務局です。
本日は、2025年下期〜2026年前半にかけて注目される**6つの主要非鉄金属(銅・亜鉛・鉛・アルミ・ニッケル・錫)**の価格見通しを根拠とともに私の見解をお伝えしたいと思います。


🔍 ざっくり結論まとめ

金属名相場の方向性特徴
アルミ上昇余地あり中国供給制限
ニュース次第で急変動ミャンマー再開観測に左右される
長期強気・短期凸凹精製銅は余剰予想も需要堅調
亜鉛横ばい傾向鉱山増でも製錬制約あり
横ばい補修用需要が下支え
ニッケル高ボラ・政策次第インドネシア主導の供給調整が鍵

🟠 銅(Copper)

▼ 現在の位置づけ

  • 長期では送電・EVなどの構造需要が堅調
  • ただしICSGは2025年以降も精製銅は余剰予想

▼ 短期(1〜3か月)

  • 製錬停止や天候要因で“上振れ”もあり得る凸凹相場
  • 米英の対ロ制裁以降、地域プレミアム差に注目

▼ 中期(6〜12か月)

  • LME想定レンジ:$8,800〜10,500/t
  • 構造的な下支えあり、過度な下落は限定的

▼ 注目指標

  • ICSG月報(需給統計)
  • LME在庫の流れ
  • 米欧の制裁・関税動向

▼ 実務ヒント

  • 在庫取り崩し局面で分割エントリー
  • ニュース急騰には利益確定を意識

✅ まとめ

銅は非鉄の主役ともいえる存在。需要は長期的に強いものの、短期ではニュース一発で大きく動くことが多く、“押し目を拾っていく”冷静さが必要ですね。
地域間の価格差や在庫推移にも気を配りながら、販売を意識するべきです。私も欲を出して何度後悔したか分かりません。笑


🔵 亜鉛(Zinc)

▼ 現在の位置づけ

  • ILZSG:2025年上期 +47千tの余剰
  • ただし在庫は109千t減、製錬制約が支え

▼ 短期(1〜3か月)

  • TC低下・製錬制約で底堅さあり
  • 稼働ニュース次第で小反発も

▼ 中期(6〜12か月)

  • 景気次第で回復あっても**$2,400〜2,900/t**のレンジ想定

▼ 注目指標

  • 製錬稼働停止/再開の動向
  • TCトレンド(製錬手数料)
  • LME在庫の3週連続減少など

▼ 実務ヒント

  • 回転重視で横ばい前提の戦略が有効
  • 在庫トレンドに素直に反応すること

✅ まとめ

亜鉛は「派手さはないが崩れにくい」金属。製錬能力がボトルネックとなっており、鉱山が増えても大きく下がりにくい。亜鉛の約半分は中国で消費されていることから
中国景気に大きく影響を受けますね。トランプ政権による米国経済の影響も大きそうです。現状の相場の$3,000前後を推移するのではないでしょうか。


🟣 鉛(Lead)

▼ 現在の位置づけ

  • ILZSG:2025年上期 +21千t余剰/在庫+26千t
  • 再生鉛供給の増加と補修需要のバランス

▼ 短期(1〜3か月)

  • バッテリー交換需要で底堅い
  • 季節性と在庫増減で動きづらい展開

▼ 中期(6〜12か月)

  • LME想定レンジ:$1,950〜2,300/t
  • 緩やかな余剰と安定相場

▼ 注目指標

  • 自動車販売・使用率
  • 再生鉛の供給増加
  • 在庫の積み上がり

▼ 実務ヒント

  • 逆張り・回転で刻む戦略が基本
  • 在庫が増えているときの“追い買い”は控えめに

✅ まとめ

鉛はボラも小さく、堅実な動きをする金属。派手な上昇は期待しにくいですが、需要も供給も読みやすいため、逆張りと短期回転で安定した立ち回りがしやすい相場です。長く持つより、タイミングよく出入りするのが正解です。鉛スクラップ市場はトレンドに左右されやすいので、何か大きなニュースがあれば転換するかもしれませんね。


🟢 アルミ(Aluminium)

▼ 現在の位置づけ

  • 中国の年産キャップ(4,500万t)に接近し増産余地なし
  • ロシア産新地金のLME受入制限で需給に歪み
  • 欧州再稼働は遅延・高コストで進まず

▼ 短期(1〜3か月)

  • 雲南省などでの乾季電力リスクあり
  • LME在庫の取り崩しが上昇要因

▼ 中期(6〜12か月)

  • LME想定レンジ:$2,400〜3,100/t
  • グリッド投資・電線需要が支え

▼ 注目指標

  • 中国の稼働容量とキャップ到達
  • 欧州の再稼働ニュース
  • LME在庫・ワラントの推移

▼ 実務ヒント

  • 押し目拾い+地域プレミアム乖離に注目
  • 実需側の価格感とのギャップも意識

✅ まとめ

アルミはこれからの注目株。中国のキャップ制限やロシア制裁の影響で、需給がタイトになりやすく、LMEと実勢価格のズレも出やすい状況です。長い目では上値余地があり、押したタイミングで丁寧に拾う戦略が合っています。個人的には私が最も期待している主要金属です。


🟤 ニッケル(Nickel)

▼ 現在の位置づけ

  • インドネシアの過剰供給が続く中で価格は5年ぶり安値圏
  • 政策での供給抑制が市場の注目点

▼ 短期(1〜3か月)

  • 下値不安はあるものの、急反発リスクも高い
  • ヘッドラインによるショートカバーに注意

▼ 中期(6〜12か月)

  • LME想定レンジ:$14,000〜18,500/t
  • 政策の実弾化でレンジ上抜けも視野

▼ 注目指標

  • インドネシアRKAB・ロイヤルティ政策
  • LME在庫の変動
  • 電池・ステンレスの需要動向

▼ 実務ヒント

  • 通常時は軽めの回転、急騰時は利確優先
  • 供給ニュースに即座に反応できる準備を

✅ まとめ

ニッケルは今の相場で最も難易度が高い金属。ボラが大きく、政策一つで一気に反転することも。普段は様子見気味に構えつつ、ヘッドラインが出た瞬間に動ける準備が求められます。慌てず、焦らず、スピード勝負です。


⚪️ 錫(Tin)

▼ 現在の位置づけ

  • ミャンマーMan Maw鉱山の再開観測が最大の変動要因
  • 出荷再開のニュースで相場が急変しやすい

▼ 短期(1〜3か月)

  • 再開関連の続報待ち
  • ロジ面・許認可状況が相場のカギ

▼ 中期(6〜12か月)

  • LME想定レンジ:$28,000〜37,000/t
  • 半導体回復ではんだ需要が支えに

▼ 注目指標

  • 国際錫協会(ITA)の現地報告
  • インドネシアTimahの出荷状況
  • コンゴ鉱山の治安

▼ 実務ヒント

  • 軽め・分割でのトレードが有効
  • ニュース+在庫減の組合せが買いシグナル

✅ まとめ

錫は「最もニュースに敏感な金属」です。ミャンマーやインドネシアの動き一つで相場が一変するため、常に情報にアンテナを張る必要があります。下値は半導体需要で堅いため、ニュースが重なったタイミングでは思い切って攻めに出るのも有効で

📚 関連コンテンツ

🔗 非鉄スクラップ価格比較表|6社掲載ルール対応

🔗 銅建値の決まり方|仕組みと月内平均を解説

🔗 亜鉛建値の決まり方|製錬動向と需給の読み方