有価物と産業廃棄物の違いとは?|スクラップの「価値」に注目した新しい視点

こんにちは、非鉄金属ナビ運営事務局です。

今回は、金属スクラップや副産物を取り扱う事業者の方にとって無関係ではいられないテーマ、「有価物と産業廃棄物の違い」について解説します。

これらの違いを正しく理解することは、法的リスクの回避やコスト削減、さらには副産物を有価で売却するチャンスを掴むためにも非常に重要です。


有価物とは?

「有価物」とは、その名のとおり経済的価値を有するものです。誰かが「お金を出してでも欲しい」と思うような物は、有価物として取り扱われます。

📌 有価物の例:

  • ピカ銅や雑線などの金属スクラップ
  • リユース可能な機械部品
  • 古紙やダンボール
  • 使用済みプラスチックペレット(再生材)

有価物は、廃棄物処理法の適用外であるため、収集・運搬・保管・売買において産業廃棄物のような厳しい規制はかかりません。


産業廃棄物とは?

「産業廃棄物(産廃)」は、事業活動に伴って発生する不要物で、廃棄物処理法により厳格に規定されています。

📌 主な産業廃棄物の例(20種類):

  • 燃え殻 – 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物
  • 汚泥 – 排水処理後の泥状物質、各種製造業からの泥状物
  • 廃油 – 潤滑油、絶縁油、洗浄用油、切削油、燃料油
  • 廃酸 – 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種有機廃酸類
  • 廃アルカリ – 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん液
  • 廃プラスチック類 – 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず
  • ゴムくず – 天然ゴムくず(タイヤなど合成ゴムは廃プラスチック類)
  • 金属くず – 鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず
  • ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず – ガラス類、耐火れんが、陶磁器くず
  • 鉱さい – 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭
  • がれき類 – 工作物の新築、改築、除去により生じたコンクリート片
  • ばいじん – 大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設等から発生
  • 紙くず – 建設業、パルプ製造業、製紙業、出版業等の特定業種から発生
  • 木くず – 建設業、木材・木製品製造業、パルプ製造業等から発生
  • 繊維くず – 建設業、繊維工業から発生する天然繊維くず
  • 動植物性残さ – 食料品、医薬品、香料製造業から発生する醸造かす等
  • 動物系固形不要物 – と畜場、食鳥処理場で発生する血液、内臓等
  • 動物の糞尿 – 畜産農業から発生
  • 動物の死体 – 畜産農業から発生
  • その他 – 輸入された廃棄物(航行廃棄物、携帯廃棄物を除く)

🚨 注意点:

産業廃棄物は、都道府県知事等に許可を受けた業者によって収集・運搬・処分しなければならないため、処理費用が発生します。また、マニフェスト制度による管理も義務づけられています。


有価物と産業廃棄物の「グレーゾーン」

現場では、あるものが「有価物なのか?それとも産業廃棄物なのか?」で判断が分かれるケースがあります。

たとえば…

  • 鉄くずは、スクラップ業者が買い取れば「有価物」
  • 同じ鉄くずでも、著しく汚れたり形状が悪い場合は「産業廃棄物」扱いになることも

これは、「処分費用を払ってでも捨てたいのか、それとも買い手がつくのか?」という点が分かれ目になります。


産業廃棄物も、実は売れる?|「有価物化」の可能性

ここで注目したいのが、「産業廃棄物として扱っていたものが、有価物として売れる可能性」です。

近年、資源価格の上昇やリサイクル技術の発展により、これまで処理費用を払っていた副産物が「お金を払って買い取られる」ケースが増えています。

✅ たとえば…

  • 鉄粉 → 製鉄所や建材メーカーでリサイクル用途
  • シュレッダーダストの選別残渣 → 一部はエネルギー回収へ

このように、産業廃棄物が「資源」としての価値を持ち、有価物として扱われる転換点が増えつつあるのです。


✅ まとめ|「ゴミ」か「資源」かは、捉え方次第

いかがでしたか?

有価物と産業廃棄物は、法的には明確に区別されていますが、実務上はグレーなケースも多く存在します。そして何より重要なのは、「自社で出る副産物を“資源”として見直す視点」です。

廃棄物処理費を払い続けるよりも、少し目線を変えて**「売れるかもしれない」ルートを探してみること**が、新たな収益につながる第一歩になるかもしれません。
当局が常々お伝えしておりますように、定期的な他業者への見積もりは必ず行うべきです。昔は産廃処理しか可能性がなかったが、現在ではリサイクル可能で有償取引が当たり前の品物も数多く存在しております。ポイントは見直したい金属の再生メーカーや大手商社に相談する事をお勧めします。
この機会に是非、見直しをしてみてください。