こんにちは、非鉄金属ナビ運営事務局です。
今回は、何名かの読者の皆さまからお問い合わせがありました「亜鉛建値(月間平均値)の算出方法」について解説したいと思います。
「亜鉛の月間平均建値は、どうやって計算されているの?」
「祝日や価格改定があった日はどうなる?」
今回は、こうした疑問にお答えするため、亜鉛建値(月間平均値)の具体的な算出ルールについて、わかりやすく解説します。
一見シンプルに見えますが、背景には業界の実態に即した合理的なルールが存在します。
そもそも「亜鉛建値」とは?
亜鉛建値(あえんたてね)とは、国内の亜鉛製錬メーカー(三井金属)が公表する**「国内向けの亜鉛指標価格」**を指します。
非鉄金属業界では、この亜鉛建値をもとにスクラップの買取価格や製品の販売単価が決定されるため、日々の取引において非常に重要な数値となります。
【結論】亜鉛建値の月間平均値は「営業日加重平均」
三井金属が公表する月間平均値は、**“営業日加重平均(えいぎょうびかじゅうへいきん)”**という方法で算出されています。
これは、以下の明確なルールに基づいています。
亜鉛建値・平均値の算出ルール
- 平日(営業日)のみで加重計算を行う
- 土曜・日曜・祝日は計算から除外する
- 価格改定があった日は**「当日適用」**(その日から新しい価格で計算)
- 最終的な数値は**「百円単位で四捨五入」**する
「営業日加重平均」の具体的な計算方法
「営業日加重平均」とは、簡単に言えば「価格が適用された営業日数」に応じて重み付けをして平均を出す方法です。
▼計算例
- 9/1–9/3:3営業日 × 475,000円
- 9/4–9/8:3営業日 × 490,000円(※9/6–7は土日除外)
- 9/9–9/11:3営業日 × 487,000円
- 9/12–9/17:3営業日 × 493,000円(※9/13–15は土日+祝日で除外)
- 9/18–9/24:4営業日 × 499,000円(※9/20–23のうち22–23は日・祝で除外)
- 9/25–9/30:4営業日 × 508,000円
- 合計営業日数=20日
- 計算式(そのまま貼れる形)
- 月平均=475,000×3+490,000×3+487,000×3+493,000×3+499,000×4+508,000×4=9,863,000
- 9,863,000➗20=493,150
- 百円単位で四捨五入=493,200円
このように、価格が適用された「期間(日数)」ではなく、あくまで「営業日数」で重み付けするのが最大の特徴です。
計算ルールに関する詳細(Q&A)
亜鉛建値の計算において、特に迷いやすいポイントをまとめました。
Q1. なぜ「営業日」ベースで計算するの?
A. 亜鉛取引が「実需(実物)」と強く結びついているためです。
亜鉛は、銅と比べて、めっき鋼板やダイカスト(自動車部品)といった「金属の物性利用(実需)」の側面が強い金属です。
そのため、物流、倉庫への入出庫、実際の受渡(デリバリー)といった日次の業務処理が動いている「稼働日(営業日)」を基準に指標を算出することが、商慣習上、最も合理的とされています。
Q2. 祝日(例:スポーツの日)の扱いは?
A. 計算対象から「除外」します。
前述の通り、亜鉛建値は「営業日」のみを対象とします。
祝日は実際の国内取引(受渡や物流)が休業となるため、平均値の計算対象にもなりません。
Q3. 価格が改定された「当日」は計算に含む?
A. 「含みます」(当日適用)
非鉄金属業界の建値取引では、価格変更が発表された「その日から即日適用」が基本ルールです。
Q4. 端数処理(丸め)のルールは?
A. 最後に算出された平均値を「百円単位で四捨五入」します。
(例:361,549.5円 → 361,500円)
(例:361,550.1円 → 361,600円)
Q5. LME(海外相場)や為替とは関係ある?
A. 日々の建値はLMEと為替を反映しますが、月間平均値の計算は国内ルールで独立しています。
日々の亜鉛建値は、ロンドン金属取引所(LME)の亜鉛相場と為替(TTS)を基に国内向け価格として算出されます。しかし、その「月間平均値」を出す際のルール(=営業日加重平均)は、国内の商慣習に基づいた独自のものです。
まとめ:亜鉛建値の平均値は「営業日」がキモ
あらためて、亜鉛建値(月間平均値)の計算ルールです。
- 算出方法: 営業日加重平均
- 土日祝: 計算から除外する
- 改定日: 当日から新価格を適用
- 端数処理: 最後に百円単位で四捨五入
銅建値とは計算ルールが異なりますので、ぜひこの機会に「亜鉛=営業日ベース」と覚えてみてください。
引き続き、非鉄金属ナビでは業界の皆様に役立つ知識を発信してまいりますので今後もご期待くださいね。
