こんにちは、非鉄金属ナビ運営事務局です。
毎日の業務の中で、こんな会話をしていませんか?
「来週の銅建値、どうなると思う?」「来月は相場下がりそうだから、今のうちに売っとくか…」長年の経験と勘がものを言うこの世界ですが、実は今、そこに「AI(人工知能)」という新しい波が押し寄せています。
「AIなんて、文章や絵を作るやつでしょ?ウチの現場には関係ないよ」そう思われるかもしれませんが、実は海外ではすでに、金属取引の現場でAIが革命を起こし始めています。
今回は、少し先の未来の話に見えて、実はすぐそこまで来ている「非鉄金属業界 × AI」の世界について解説します。
海外ですでに始まっている「AI金属取引」
ドイツ発の金属取引プラットフォーム「METYCLE(メティクル)」をご存じでしょうか?
彼らはAIを活用したスクラップ取引の効率化を掲げ、巨額の資金調達(約6億円以上)を成功させています。
これは単なるIT化ではありません。
「電話とFAX」が「LINEとメール」に変わった時のように、取引のルールそのものが変わろうとしているのです。
では、AIが現場に入ると、具体的に何が変わるのでしょうか?
AIができること①:相場予測の「超」参謀
金属相場は、LME価格や為替だけでなく、原油価格、各国のストライキ、天候、地政学リスクなど、無数の要因で動きます。人間がこれら全てのニュースを24時間追いかけるのは不可能です。しかし、AIなら可能です。世界中のニュースを瞬時に読み込み、
- 「チリの銅鉱山でストライキの兆候あり。供給懸念で来週は上がる確率が高いです」
- 「中国の工場稼働率が低下中。アルミの売り時を早めるべきです」
といった具合に、経営判断に必要な情報を整理し、「優秀な参謀」として助言してくれるようになるでしょう。
AIができること②:自動で「高く売れる先」を探す営業マン
さらに技術が進めば、AIエージェントが勝手に営業してくれる未来も現実味を帯びてきます。例えば、あなたが「今ある在庫のスペック(銅ナゲット、歩留まり98%、10トン)」をシステムに入力したとします。するとAIが、
- 世界中のバイヤーデータから、今最もその商材を欲しがっている相手を検索。
- 相手が中国企業なら中国語で、インド企業なら英語で交渉メールを自動送信。
- 条件が合えば、契約書の下書きまで自動作成。
嘘のような話ですが、テクノロジーの進化スピードを考えれば、決して夢物語ではありません。
まずは「触ってみる」ことから
もちろん、最終的な判断や、現物の検収といった「現場の目」は人間にしかできません。
しかし、情報収集や事務作業といった分野では、AIは最強のパートナーになり得ます。
いきなり高価なシステムを入れる必要はありません。
まずは話題の「ChatGPT」などに、「今日のLME銅相場の動きを教えて」「アルミスクラップの用途を初心者に説明して」と話しかけてみるだけでも、その可能性を感じられるはずです。
非鉄金属ナビでは、こうした業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)や最新技術の動向についても、引き続き発信していきます。「変化を味方につける」ことが、これからの相場を生き抜く鍵になるかもしれません。

