こんにちは、非鉄ナビ運営事務局です。
本日は金属解説シリーズの第3弾、「亜鉛」についてお届けします。
建材・めっき用途で使用されることが多く、スクラップとしても多様な形状や品質が存在する金属です。
それでは早速始めていきましょう。
亜鉛とは?特徴と性質
亜鉛(Zn)は、耐食性・防錆性・合金性に優れた金属で、鉄製品の表面めっきや銅との合金(黄銅・真鍮)に広く使用されています。
また、酸化亜鉛はゴムや塗料、化粧品などにも利用され、産業全体を支えるベースメタルの一つです。
亜鉛の主な特徴
- 防錆性(犠牲防食効果):鉄より先に酸化することで、鉄のサビを防ぐ
- 耐候性:屋外や水回りの厳しい環境でも長寿命
- 加工性:融点が低く鋳造・合金化しやすい(419.5℃)
- 合金性:真鍮(銅+亜鉛)やZDCなどダイカスト材として使用
- 高い再資源化率:日本国内では約40〜50%がリサイクル原料由来
亜鉛の主な用途と需要分野
亜鉛の国内用途構成としては、以下のような割合が一般的です。
用途分類 | 構成比(目安) | 主な用途・発生元 |
---|---|---|
溶融亜鉛めっき(防錆) | 約55〜60% | 鉄骨構造物、鋼材、橋梁、ガードレール、自動車部品 |
ダイカスト合金(ZDC等) | 約20〜25% | 家電・OA機器部品、玩具、自動車部品 |
黄銅・真鍮用合金材 | 約10% | 水栓金具、建材金具、装飾部材 |
酸化亜鉛(ZnO) | 約5〜8% | ゴム用添加剤、化粧品、塗料、医薬品 |
その他(電池、化学製品等) | 約2〜5% | 乾電池(負極)、薬品原料など |
亜鉛スクラップの種類と発生工程
種類 | 特徴 | 主な発生工程 |
---|---|---|
亜鉛ドロス・亜鉛滓 | 溶融亜鉛で発生する副産物 | 溶融亜鉛めっき工場 |
トップドロス | 連続亜鉛溶融メッキ工程にて発生する亜鉛ドロス | 連続亜鉛溶融メッキ |
亜鉛合金くず(丹入)・亜鉛ダライ粉 | 鋳造時のバリ・切削くずなど | ダイカスト工場、自動車部品製造 |
高価買取が期待できる売却先と具体企業
亜鉛精錬メーカー
- 三井金属鉱業株式会社
- DOWAホールディングス
亜鉛合金メーカー・再資源化
- サンエツ金属株式会社
- 株式会社キッツメタルワークス
亜鉛薬品メーカー等
- ハクスイテック株式会社
- 東邦亜鉛株式会社
高価買取を実現するための販売戦略
1. 品質と分別の徹底
- 鉄や鉛の混入、油・水分の付着は減額の原因となるため注意
- 見た目が似ていても「アルミ」、「亜鉛」、「鉛」は混在しやすいので要注意。
2. 市況・相場の確認
- 国内建値(三井金属鉱業)が目安
- LME(ロンドン金属取引所)亜鉛価格と連動するため、定期チェックが重要
まとめ
亜鉛は、鉄の防錆処理や鋳造品・合金用途などで幅広い用途と安定した需要を持つ金属です。
その分、スクラップの形状・品質・混入物によって価格差が非常に大きくなる特徴があります。
ドロスや滓などは見た目で過小評価されがちですが、金属分が高ければ精錬メーカーにて高値で取引される可能性があります。
ご紹介したような具体的企業への売却を検討しながら、
適切なグレード分類と分別管理を心がけていくことで、より有利な価格での売却が可能になります。