こんにちは、非鉄ナビ運営事務局です。
金属解説シリーズの第4弾は「鉛(なまり)」について解説します。
重くて柔らかく、遮音・遮蔽に優れた鉛は、自動車や建材、放射線対策など様々な用途で使われており、
スクラップとしても安定した需要があります。それでは早速始めていきましょう。
鉛とは?特徴と性質
鉛(Pb)は、原子番号82、比重11.3の非常に重たい金属です。柔らかく展延性があり、密度が高いため、
電池・放射線遮蔽材・はんだ・防音材など、特定の分野で高く評価されている素材です。
鉛の主な特徴
- 高比重(約11.3):非常に重く、遮蔽・バランス用途に優れる
- 柔らかさ・延性:加工しやすく、成型自由度が高い
- 耐腐食性:水や酸に対する耐性が強い(配管・屋根材などに使用)
- 遮音・遮蔽性:放射線や音を遮断する特性あり
- 有害性があるため取り扱い注意(鉛中毒)
鉛の主な用途と需要分野
鉛は以下のような分野で使用されています。
日本国内での使用用途構成比は次の通りです。
用途分類 | 構成比(目安) | 主な用途・発生源 |
---|---|---|
自動車バッテリー(鉛蓄電池) | 約 75〜80% | 鉛電極・格子板・ケース |
放射線遮蔽材・医療機器部材 | 約 10% | レントゲン室の壁材・X線装置部品 |
建築・防音材・はんだ用途 | 約 5〜8% | 給水管、屋根材、遮音シート、はんだなど |
合金添加・産業用材料 | 約 2〜5% | 真鍮、軸受け合金、その他工業用原料など |
鉛スクラップの種類と発生工程
種類 | 特徴 | 主な発生工程 |
---|---|---|
廃バッテリー(鉛蓄電池) | 使用済の鉛電池。分解・分別が必要 | 自動車整備工場、運送会社、再生バッテリー業者 |
軟鉛スクラップ | 純鉛に近い柔らかい鉛板や棒材など | 鉛板メーカー、建材部材 |
硬鉛スクラップ | 合金が添加された硬質鉛。バランスウエイトなど | 工場設備、自動車部品など |
鉛管・鉛シート | 古い水道管や屋根材など | 建築解体、古民家改修など |
活字鉛・はんだくず | 印刷活字、鉛入りはんだ | 印刷業、電子部品工場など |
高価買取が期待できる売却先と具体企業
鉛精錬メーカー
- 東邦亜鉛株式会社
- 三菱マテリアル株式会社
鉛スクラップ回収・再資源化業者
- 株式会社ダイセキMCR
- 株式会社大阪鉛錫精錬所
- 中国系の再生鉛業者
高価買取を実現するための販売戦略
1. バッテリーは「中身の鉛含有量」が重要
- 外装だけの空バッテリーや劣化バッテリーは評価が下がる
- 鉛含有率が高いものは 重量=価値 に直結するため、水分や異物を除去するのがコツ
2. 分別・管理の徹底
- 軟鉛・硬鉛・鉛合金・活字鉛は用途が異なるため分類が必須
- 取り扱い上、有害物質として管理されているため、保管・搬出も安全管理が求められます
3. 市況の把握
- 鉛価格はLME鉛相場に連動し、為替(TTS)・国内建値で日々変動
- 特に輸出入規制・有害物質関連の国際動向も影響大
まとめ
鉛は、スクラップの中でも重量=価値が明確な金属であり、自動車バッテリーをはじめ、
医療・建材・工業用途において安定した需要を誇ります。
スクラップとしても「廃バッテリー」「純鉛板」「鉛合金」「活字鉛」などさまざまな形状が存在し、
それぞれに応じた売却先を選ぶことで、より高価な取引が期待できます。
東邦亜鉛・三菱マテリアルなどの大手精錬メーカーをはじめ、最近では中国系の再生鉛メーカーなども
増えていることから調査し、コンタクトしてみるのも一つの手かもしれません。
次回は「ニッケル編」を予定しておりますので、ぜひそちらもご覧いただけますと幸いです。
それではまた、次回の更新でお会いしましょう。