こんにちは、非鉄金属ナビ運営事務局です。
本日は、業界に激震が走った亜鉛建値の大暴落について深掘り解説します。
2025年12月17日、三井金属の改定により、国内亜鉛建値は586,000円/t → 511,000円/tへと、一夜にして**-75,000円(約-12.8%)**もの急落を記録しました。
これは歴史的な暴落と言えます。観測市場最高ではないでしょうか?
**「LME相場と為替の動きだけで、こんなに下がる計算になる?」**と疑問に感じた方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、今回の暴落の本質はLME価格そのものの下落ではなく、**「在庫急増によるプレミアム(逆ざや)の崩壊」**にあると当編集部では見ています。
本記事では、計算が合わない「消えた6万円」の正体と、今後の相場展開についてプロの視点で解説したいと思います!!
📉 何が起きたのか?:計算が合わない「異常な下げ幅」
まずは冷静に数字を整理しましょう。前回の改定時と今回のデータを比較します。
| 項目 | 前回(12/12頃) | 今回(12/17) | 変動 |
| 国内建値 | 586,000円 | 511,000円 | -75,000円 |
| LMEセツル | $3,320 | $3,033 | -$209 |
| TTS(為替) | 156.71円 | 155.69円 | -1.02円(円高) |
※12月12日の建値改定なので、ベースとなったLMEは12月11日のものになります。
ここで、今回の下げ幅の内訳を試算してみます。
LMEが約290ドル下落し、為替も1円ほど円高に振れました。これらを掛け合わせると、相場変動による純粋な下げ幅は約4.5万〜4.8万円程度と計算できます。
しかし、実際の下げ幅は**「7万5千円」**。 差額の約3万円(トンあたり約200ドル相当)は、どこへ消えたのでしょうか?
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🔍 真因の解説:LME在庫ショックと「逆ざや」の消滅
今回の暴落の真犯人は、**「LME在庫の突発的な急増」と、それに伴う「バックワーデーション(逆ざや)の解消」と考えております。
1. 一夜にしてLME在庫が激増
これまで亜鉛相場が高値を維持していた最大の根拠は「LME在庫の歴史的な枯渇」でした。
しかし、16日から17日にかけて、シンガポール等のアジア倉庫を中心に数万トン規模の在庫が一気に入庫されました(前日比で約48%増とも言われています)。
2. 「見えない上乗せ金」が剥がれ落ちた
在庫が少ない時、相場には**「バックワーデーション(Backwardation)」**と呼ばれる現象が起きます。
これは「将来の価格(先物)」より「今すぐ手に入る価格(現物)」が異常に高くなる現象で、いわば**「緊急調達の特急料金」**のようなプレミアムが価格に乗っていました。
しかし、在庫が大量に出現したことで「モノ不足」の懸念が一瞬で解消。この特急料金(プレミアム)が一気に剥落しました。
つまり、今回の-75,000円の内訳は以下のようになります。
- 約4.5万円分: LME相場の下落と円高による純粋な下げ
- 約3.0万円分: 需給緩和によるプレミアム(上乗せ分)の消滅
これが、計算が合わない暴落のカラクリであると推測されます。
🔮 LME相場の行方:上げ・下げ、どっちの確率が高い?
「で、結局これから上がるの?下がるの?」 現場の皆様が一番気になるところだと思います。
今回の「在庫急増ショック」を踏まえると、当編集部では**「しばらくは上値が重い(上がりにくい)」**展開を予想しています。 具体的な確率イメージは以下の通りです。
【予想確率 60%】📉 下落・底値模索シナリオ
最も可能性が高いのがこのパターンです。 これまで「在庫枯渇」を理由に買われていた分の反動が続きます。一度「モノはある」という事実が露呈したため、投機筋は買いの手を引っ込め、次は**「中国の実需の弱さ」**に焦点が当たりやすくなります。 LME価格はもう一段階、下値を探る展開(2,900ドル割れなど)を警戒すべきでしょう。
【予想確率 30%】➡ 横ばい・レンジ相場
3,000ドル近辺で膠着するパターンです。 急落による売りが一巡した後、安値を拾う動きと、戻り待ちの売りがぶつかり合います。為替が安定していれば、建値もしばらく動かない「様子見」の期間が続くでしょう。
【予想確率 10%】📈 V字回復シナリオ
現時点では、可能性は低いと見ています。 再び価格が急騰するには、今回増えた在庫が再び急速に減るか、中国政府による超大型の景気刺激策などの「サプライズ」が必要です。 「下がったからすぐ戻るだろう」という楽観的な期待は、今回は禁物です。
🏭 現場で今すぐできる対策
この「上値が重い」予測を前提に、実務では以下の対策を推奨します。
- 「戻り待ち」は慎重に: 「もう少し待てば上がるかも」と在庫を抱え込むと、さらなる下落で身動きが取れなくなるリスクがあります。ある程度のラインで見切りをつける回転売買が安全です。
- 提示条件の再確認: 相場が崩れる局面では、メーカーや商社の「買値」だけでなく「引き取り条件(スプレッド)」も厳しくなりがちです。急変日こそ、条件を必ず確認してください。
✅ まとめ:数字の裏側にある「需給の変化」を見逃すな
今回の建値暴落は、単なる価格調整ではなく**「需給構造の転換点(モノ不足相場の終了)」**を示唆しているかもしれません。
表面的なLME価格や為替だけを見ていると、今回の動きは見誤ります。「なぜ計算が合わないのか?」と疑問を持ち、その裏にある在庫変動やプレミアムの動きを注視することが、リスク管理の第一歩です。
とはいえ先の事は誰も読めませんので、上記の記事も参考程度にしてくださいね。笑
その他何か聞きたいことがある場合は、問い合わせフォームからご遠慮なくお問い合わせくださいね。

