2026年1月、LME(ロンドン金属取引所)のニッケル相場が歴史的な騰勢を見せています。価格は一時1トンあたり18,500ドルを突破。2024年半ばから続いていた低迷期を脱し、約2年ぶりの高値圏へ急浮上しました。
かつては「供給過剰の代名詞」だったニッケル市場で、今何が起きているのか。2024年の実績データと比較しながら、相場を動かしている「真犯人」と、現場が知っておくべき基礎知識をプロの視点で解説します。
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1. 需給バランスの劇的変化:2024年(実績)との比較
まず、この2年で市場の前提がいかに「逆転」したかを数値で確認しましょう。
| 項目 | 2024年(参考実績値) | 2026年(通期予測値) |
| 需給バランス | +25万トンの大幅余剰 | ▲5万トンの不足(赤字転落) |
| 市場の状態 | インドネシア産が溢れ、価格低迷 | 政策による供給カットでタイト化 |
| LME価格(平均) | 16,000ドル〜17,000ドル | 18,500ドル超(2年ぶり高値) |
2024年はインドネシアでの増産が止まらず、在庫が積み上がる「買い手市場」でした。しかし、2026年は政府の強力な介入により、市場から一気に現物が消える懸念が強まっています。
2. 最大要因:インドネシアによる「34%の生産枠カット」
今回の急騰の心臓部は、世界最大のニッケル産出国インドネシアが発表した2026年度の採掘枠(RKAB)の大幅削減にあります。
- 衝撃の削減内容: 政府は2026年の鉱石生産目標を、前年比で約34%も少ない2億5,000万トンに設定しました。
- 国家戦略としての「出し惜しみ」: これまでの「掘れば掘るほど安くなる」状態を脱し、供給を絞ることで国際価格を強引にコントロールする構えです。
この決定により、ニッケルは「いつでも安く手に入るコモディティ」から「国家が管理する戦略物資」へと完全に変貌しました。
3. 副要因:役所の「ハンコ待ち」と、最大手の操業停止
理論上の生産枠カットに加え、実務的な「手続きの遅れ」が火に油を注いでいます。ここが今、最も現場の体感価格を押し上げている部分です。
「採掘の切符」が届かない異常事態
インドネシアでニッケルを掘るには、政府から毎年「今年はこれだけ掘っていいですよ」という許可証(RKAB)をもらう必要があります。いわば、**山に入るための「切符」です。2026年1月現在、この役所の発行作業が大幅に遅れており、多くの現場が「掘りたいのに、書類が足りなくて動けない」**というもどかしい状態に陥っています。
世界的な巨人の「お休み」がパニックを誘発
特に市場を震え上がらせたのが、世界最大級の生産者**「PT Vale Indonesia」の動きです。 新年早々、許可証の更新が間に合わなかったことを理由に、ヴァレ社が「一時的な操業停止」**を発表。これが「世界中からニッケルが消える!」という恐怖心を呼び、投資家や実需家のパニック的な買い戻しを招きました。
4. ニッケル相場の基礎知識:なぜこの金属は「暴れ馬」なのか?
ニッケルは非鉄金属の中でも、プロの間で「最も扱いが難しい」とされるほど価格が乱高下しやすい特徴があります。その理由と、相場を支える「2大需要」を整理します。
価格が「激しく動く」2つの理由
- 在庫が少ない: LME倉庫の在庫量は、他の金属に比べて極めて少なく、少しのニュースで買い占めやパニックが起きやすい構造です。
- 過去のトラウマ: 2022年に価格が数日で4倍(10万ドル超)になった「ニッケル・ショック」の記憶が市場に染み付いています。そのため、不安材料が出ると資金が一気に流入し、暴騰しやすい性質があります。
ニッケルを支える「2つの巨大需要」
- ① ステンレス鋼(需要の約7割): 台所用品から建築、インフラまで、錆びない鋼鉄を作るための必須成分です。世界経済、特に中国の景気に左右されます。
- ② EV向け電池(成長のエンジン): 電気自動車の走行距離を伸ばす「ハイニッケル電池」の需要が、2026年は過去最高水準に。これが相場の下値を強力に支えています。
5. 今後の予測:強気相場はどこまで続くか
短期予測:20,000ドルの大台を試す展開
インドネシアの許可証発行が正常化するまでは、現物不足への懸念は消えません。2026年前半は、さらに上値を追い、19,000ドル〜20,000ドルをターゲットにする展開が濃厚です。
中長期予測:以前の「低価格」には戻らない
インドネシア政府のさじ加減で調整が入る可能性はありますが、EV需要という構造的な土台があるため、2024年のような安値(15,000ドル台)に逆戻りすることは考えにくいでしょう。今後は**17,500ドル付近が「新しい底値」**となる時代に入ったと見るべきです。
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