こんにちは。非鉄金属ナビ運営事務局です。
「ステンレスのスクラップって、いくらくらいで売れるの?」「種類によって買取価格が違うって本当?」「そもそも、どうやって分別すればいいの?」――そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
ステンレスは、鉄にクロムやニッケルといった希少な金属を添加した合金で、建築資材から厨房機器、自動車部品、医療器具まで、あらゆる産業で使われている身近な素材です。そして、使い終わったステンレス製品は「スクラップ」として高い価値を持ち、回収率80〜90%、ほぼ100%再生可能という優れたリサイクル性能を誇ります。
しかし、ステンレススクラップの世界は奥が深く、種類の見分け方ひとつで買取価格に大きな差が生まれます。知識がないまま業者に持ち込むと、本来得られるはずの金額を大きく下回ってしまうケースも珍しくありません。
この記事では、ステンレススクラップの基礎知識から種類別の買取価値、磁石を使った簡単な見分け方、最新の価格相場、高く売るための4つのコツ、産業廃棄物との境界線、そして信頼できる業者の選び方まで、非鉄金属の専門メディアとして網羅的に解説します。初めてステンレススクラップを売却する方にも、日常的にスクラップを扱う事業者の方にも、必ず役立つ情報をお届けします。ぜひ最後までお付き合いください。
ステンレススクラップとは?リサイクルの現状と基本知識
ステンレススクラップの売却や処分を考える前に、まずはステンレスという金属の基本的な性質と、リサイクルの現状を押さえておきましょう。「なぜステンレスのスクラップには価値があるのか」を理解しておくことが、適正な価格で取引するための第一歩です。
ステンレスの定義と「さびにくい」理由
ステンレスの正式名称は「ステンレス鋼(Stainless Steel)」です。「Stainless」は「さびない」を意味する英語で、その名のとおり高い耐食性を持つ合金鋼を指します。
ステンレスがさびにくい理由は、主成分である鉄にクロム(Cr)を10.5%以上添加している点にあります。クロムは空気中の酸素と反応して、表面にごく薄い「不動態皮膜」と呼ばれる酸化皮膜を形成します。この皮膜が鉄の腐食を防ぐバリアとなり、たとえ傷がついても自然に再生されるため、ステンレスは長期間にわたってさびにくい状態を維持できるのです。
さらに、ニッケル(Ni)を8%程度添加した種類(後述するオーステナイト系)は、耐食性がさらに向上し、加工性や溶接性にも優れています。このクロムとニッケルという2つの非鉄金属が、ステンレスの性能を支える要であり、スクラップとしての価値を決定づける重要な要素でもあります。
ステンレススクラップの高いリサイクル率と環境への貢献
ステンレスは、数ある金属の中でもリサイクル性能が極めて高い素材です。使用後のステンレス製品はスクラップとして80〜90%が回収され、ほぼ100%再生利用が可能とされています。さらに注目すべきは、現在流通しているステンレス製品の約60%がリサイクル原料から製造されているという事実です。
新規にステンレスを製造する場合、鉄鉱石の採掘やニッケル・クロムの精錬に膨大なエネルギーが必要になります。スクラップからの再生は、このエネルギー消費と二酸化炭素の排出量を大幅に削減できるため、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとしても大きな意義があります。
皆様が不要になったステンレス製品を適切にリサイクルに回すことは、資源の有効活用と環境保全の両面で、社会に貢献する行動です。そして同時に、ステンレススクラップには確かな経済的価値がある――この点をまず認識しておいていただきたいと思います。
【種類別】ステンレススクラップの特徴と買取価値の違い
ステンレスと一口に言っても、その種類は多岐にわたります。そして、種類によって含有する金属成分が異なるため、スクラップとしての買取価格にも明確な差が生じます。ここでは、買取価値に直結する主要な分類を整理します。「自分が持っているステンレスは、どの種類に該当するのか?」を確認しながら読み進めてみてください。
高く売れる「オーステナイト系(SUS300番台・SUS304など)」
ステンレススクラップの中で最も高値で取引されるのが、オーステナイト系と呼ばれるSUS300番台のステンレスです。代表的な規格は「SUS304」で、クロムを約18%、ニッケルを約8%含有しています。
オーステナイト系が高く売れる理由は明快です。希少金属であるニッケルを含有しているからです。ニッケルはロンドン金属取引所(LME)で取引される国際相場商品であり、その市場価格は常に高い水準にあります。スクラップの買取価格はニッケルの含有量と国際相場に連動して算出されるため、ニッケルを約8%含むSUS304のスクラップは、必然的に高い買取額が提示されます。
SUS304は耐食性・加工性・溶接性のバランスに優れ、台所のシンク、食品加工設備、化学プラント、建築用外装材など、最も幅広い用途で使用されている規格です。そのため、市場に流通するスクラップ量も多く、取引の中心的な存在となっています。
なお、SUS304のほかにも、モリブデンを添加し耐食性をさらに高めた「SUS316」や、高温環境に強い「SUS310S」なども300番台に属します。これらはニッケル含有量がSUS304よりも多い場合があり、買取価格がさらに高くなることもあります。
買取価格が下がる「フェライト系(SUS400番台・SUS430など)」
一方、フェライト系と呼ばれるSUS400番台のステンレスは、オーステナイト系と比較して買取価格が大幅に低くなります。代表的な規格は「SUS430」で、クロムを約17%含有していますが、ニッケルは含まれていません。
買取価格が下がる理由もまた明快です。価格を押し上げるニッケルが入っていないためです。フェライト系の価値はクロムの含有量で評価されますが、クロムはニッケルほどの市場価値を持たないため、同じ重量のスクラップでも300番台と400番台では買取額に数倍の差がつくことも珍しくありません。
SUS430は磁性を持つ(磁石にくっつく)ステンレスで、家電製品の外装パネル、自動車の排気系パーツ、厨房用品のうち比較的安価な製品に多く使われています。ステンレスであること自体は間違いないのですが、スクラップとしての経済的価値という面では、300番台と明確に区別して認識しておく必要があります。
その他の種類(マルテンサイト系・二相系など)
ステンレスには、オーステナイト系・フェライト系以外にも複数の種類が存在します。
マルテンサイト系(SUS410、SUS420J2など)は、焼き入れによって硬度を高められる種類で、包丁やハサミ、タービンブレードなどに使われています。クロムを含みますがニッケルはほぼ含まないため、スクラップとしての買取価格はフェライト系と同等か、やや低い水準です。磁石に強く反応する性質を持っています。
二相系(SUS329J1など)は、オーステナイト相とフェライト相の両方を持つ特殊な構造のステンレスで、耐食性と強度を高い次元で両立しています。化学プラントや海水淡水化設備など、過酷な環境で使用されるケースが多い種類です。ニッケルを含むため買取価格は比較的高めですが、流通量は限定的です。
スクラップ業界での呼び方(「ステン」と「クロム」)
スクラップの買取業者とやり取りする際に知っておくと役立つのが、業界特有の呼び方です。
非鉄金属スクラップの業界では、ニッケルを含むSUS300番台のスクラップを「ステン」と呼びます。一方、ニッケルを含まないSUS400番台のスクラップは「クロム」と呼ばれます。
この呼び分けは、スクラップの経済的価値がニッケルの有無で決定的に異なることを反映した業界用語です。買取業者に電話やメールで問い合わせる際、「ステンを売りたい」と言えば高価なSUS300番台のスクラップであることが即座に伝わりますし、「クロムです」と言えばSUS400番台として話が進みます。正確なコミュニケーションのために、この2つの呼称はぜひ覚えておいてください。
磁石でわかる!高いステンレススクラップの見分け方
「自分の手元にあるステンレスが300番台なのか400番台なのか、見た目ではまったくわからない」――こうした声はよく聞かれます。実際、外観だけでステンレスの種類を判別するのは、熟練の専門家でも容易ではありません。しかし、皆様のご自宅や工場にある「磁石」を使えば、高い精度で見分けることが可能です。
磁石につかないステンレス(オーステナイト系)
最も簡単で実用的な見分け方は、磁石をステンレスに近づけてみることです。
磁石にくっつかない、あるいは反応がごく弱いステンレスは、ニッケルを含むオーステナイト系(SUS300番台)である可能性が高いといえます。オーステナイト系は結晶構造が「面心立方格子」であるため、本来は非磁性(磁石に反応しない)の性質を持っています。
ただし、注意点が一つあります。SUS304であっても、プレス加工や曲げ加工などの強い塑性変形を受けた部分は、結晶構造が部分的に変化して弱い磁性を帯びることがあります。このため、加工を受けていない平面部分で確認するのがポイントです。磁石がまったくつかないか、かすかに引き合う程度であれば、高価な300番台と判断してよいでしょう。
磁石にくっつくステンレス(フェライト系・マルテンサイト系)
反対に、磁石が明確にくっつくステンレスは、フェライト系(SUS400番台)またはマルテンサイト系と考えられます。これらは結晶構造が「体心立方格子」であり、鉄と同様に強い磁性を持っています。
磁石に強く反応するからといって「これはステンレスではなく鉄では?」と考える方もいますが、ステンレスは鉄を主成分とする合金ですので、磁石につく種類が存在するのは自然なことです。ただし、買取価格は300番台に比べて大幅に低くなるため、分別の段階で確実に分けておくことが重要です。
磁石による判別をまとめると、以下のとおりです。
| 磁石の反応 | 推定される種類 | スクラップとしての価値 |
|---|---|---|
| つかない・ごく弱い | オーステナイト系(SUS300番台) | 高い(ニッケル含有) |
| 明確につく | フェライト系・マルテンサイト系(SUS400番台) | 低い(ニッケルなし) |
この簡易判別を売却前に実施するだけで、混合による買い叩きを防ぎ、適正な価格を引き出す大きな助けになります。
「18-8」などの刻印による判別方法
磁石以外にも、製品本体に刻印された数字から種類を判別できる場合があります。
スプーン、フォーク、鍋などの日用品の裏面や底面に、「18-8」という刻印が記されていることがあります。これは「クロム18%・ニッケル8%」を意味しており、SUS304に相当する高品質なステンレスである証です。
同様に、「18-10」はニッケルが10%含まれるSUS304相当品、「18-12」はSUS316に近い高耐食グレードを示します。いずれもニッケルを含む300番台に属する製品であり、スクラップとしての価値が高いものです。
一方、「18-0」という刻印は、クロム18%・ニッケル0%を意味しており、フェライト系のSUS430に相当します。刻印のないステンレス製品も多くありますが、確認できる場合は判別の有力な手がかりになりますので、売却前にぜひチェックしてみてください。
ステンレススクラップの最新買取価格相場と価格の決まり方
「結局、ステンレスのスクラップはいくらで売れるの?」という疑問は、皆様が最も知りたいポイントでしょう。ここでは、買取価格の相場目安と、価格が決まる仕組みを解説します。
状態・品目別の買取相場目安(新切れ・解体物・ダライ粉など)
ステンレススクラップの買取価格は、種類(300番台か400番台か)だけでなく、スクラップの「状態」によっても細かく区分されています。同じSUS304であっても、状態が良いものと悪いものでは単価に明確な差が生まれます。
主な品目の特徴を整理すると、以下のようになります。
| 品目 | 状態の説明 | 買取価格の傾向 |
|---|---|---|
| 新切れ(しんきれ) | 工場での加工時に出る端材。未使用で清潔、不純物がほぼない | 最も高い |
| 解体物(かいたいぶつ) | 建物や設備の解体で発生。ボルトや断熱材などが付着している場合あり | 中程度(付着物により減額) |
| ダライ粉(だらいこ) | 旋盤加工で出る細かい切削屑。油分や切削液が付着しやすい | 低め(減容・油分で減額) |
| 家庭系雑品 | 鍋、ヤカン、シンクなど家庭から排出される混合スクラップ | 低め(選別コストが上乗せ) |
最も高い買取単価がつく「新切れ」は、製造工程から直接排出されるため品質が安定しており、精錬メーカーにとって扱いやすい原料です。逆に、解体物やダライ粉は不純物の混入や油分の付着があるため、そのぶん買取価格から差し引かれます。
スクラップの最新の買取価格相場は日々変動しています。我々、非鉄金属ナビでは最新のスクラップ価格情報を随時更新しておりますので、売却をご検討中の方はぜひ以下のページをご確認ください。
非鉄金属ナビ スクラップ価格ページ:https://hitetsunavi.jp/scrap-metal-prices/
ニッケル相場がステンレスの買取価格に与える影響
ステンレススクラップ、とりわけ高価な300番台(SUS304など)の買取価格は、ロンドン金属取引所(LME)のニッケル相場と密接に連動しています。
SUS304はニッケルを約8%含有しており、このニッケル成分の国際的な評価額がスクラップ全体の買取単価を大きく左右します。LMEでニッケル価格が上昇すれば、SUS304スクラップの買取価格も上がります。逆にニッケル相場が下落すれば、買取価格も引き下げられます。
加えて、国内のステンレススクラップ市場では為替レート(ドル円相場)の影響も無視できません。LMEの取引はドル建てで行われるため、円安が進めば円換算での価格に下支え効果が働き、円高に振れれば国内の買取価格には下押し圧力がかかります。
つまり、ステンレススクラップの売却タイミングを判断するには、LMEニッケル相場と為替レートの両方を注視する必要があるのです。
非鉄金属ナビでは、ニッケルをはじめとする非鉄金属の最新相場情報も掲載しています。市場動向の確認にお役立てください。
非鉄金属ナビ 相場情報ページ:https://hitetsunavi.jp/market-price/
ステンレススクラップを少しでも高く売るための4つのコツと注意点
ステンレススクラップの買取価格は相場によって変動しますが、売り手側の工夫次第で手取り額を大きく改善できる余地があります。ここでは、現場ですぐに実践できる4つの具体的なコツと、見落としがちな注意点をお伝えします。少しの手間で買取額が変わるポイントばかりですので、ぜひ実践してみてください。
種類(SUS300系と400系)を確実に分別する
最も重要な鉄則は、SUS300番台とSUS400番台を確実に分けてから業者に持ち込むことです。
前述のとおり、300番台(ニッケル含有)と400番台(ニッケルなし)では買取価格に数倍の開きがあります。この2種類を混ぜたまま持ち込んだ場合、買取業者は安全を見て「低い方の価格」に合わせた査定を行います。つまり、高価な300番台が混在していても、400番台の価格でまとめて査定されてしまうのです。これは、売り手にとって大きな損失です。
磁石を使った判別は前章で解説したとおりです。手間はかかりますが、分別作業は確実にお金に直結する行動です。事前に磁石で仕分けしておくだけで、買取額が目に見えて向上するケースは非常に多いと言えます。
異物(プラスチック・鉄・断熱材など)をしっかり取り除く
種類の分別と並んで重要なのが、ステンレス以外の異物の除去です。
工場の配管や建物の設備機器をスクラップとして排出する場合、ステンレス本体に鉄製のボルト、アルミニウム部品、銅配線、プラスチックのカバー、ゴムパッキン、断熱材などが付着・結合しているケースが多くあります。これらの異物が付いたままでは、買取業者は「ダスト引き」として不純物分を大幅に減額します。
精錬メーカーの炉でスクラップを溶解する際、プラスチックやゴムは有害ガスの発生原因となり、鉄やアルミの混入は完成品の品質不良につながります。したがって、異物が多いスクラップは敬遠されるのです。
可能な限り、搬入前にステンレス以外の素材を取り外し、できるだけ「純粋な金属」に近い状態にすることが、高価買取の核心です。鉄・アルミ・銅などを素材ごとに完全に分けておけば、買取業者側の再選別コストが削減される分だけ、買取価格に上乗せされます。
サイズや重量の制限に注意する(長尺物や大型機器の減額)
意外と見落とされがちなのが、スクラップの物理的なサイズや重量に関する制限です。
買取業者の多くは、自社の加工設備(切断機やプレス機)で処理可能なサイズを前提に買取価格を設定しています。長さ数メートルに及ぶ配管やダクト、大型のタンクや容器など、そのままでは切断が必要な長尺物・大型物は、加工賃分が減額される場合があります。
持ち込み前に、業者の受入基準(最大サイズや重量制限)を確認しておくことをおすすめします。可能であれば、自社でガス切断やディスクグラインダーを使って規定サイズ以内に切断しておくと、減額を回避できます。特に解体工事で大量のステンレス部材が発生する場合は、事前に業者と搬入条件をすり合わせておくことが重要です。
鍋やヤカン、メッキ製品などの特殊な扱いを知っておく
家庭や飲食店から排出されるステンレス製品には、業界内で独自の扱いを受けるものがあります。
たとえば、ステンレス製の鍋やヤカンは底面に熱伝導を高めるためのアルミニウムや銅が貼り合わされている場合があります。このような複合材料は、ステンレス単体のスクラップとは異なる評価となり、分離の手間を考慮して買取価格が引き下げられることがあります。
また、鉄の表面にステンレスの薄いメッキを施した「ステンレスメッキ製品」は、見た目がステンレスそのものであっても中身は鉄ですので、ステンレススクラップとしての評価はつきません。磁石で判別する際に、全面が強力に磁石につく場合はメッキ製品の可能性も疑ってみてください。
業者に持ち込む前に、特殊な構造を持つ製品を事前に取り分けておくことで、査定時のトラブルや想定外の減額を防ぐことができます。
産業廃棄物?有価物?金属くずを処分する際の境界線
事業活動で排出されるステンレスの端材や廃棄設備を処分する際、「これは売れるスクラップなのか、それともお金を払って処分しなければならない産業廃棄物なのか?」という判断に迷うケースは少なくありません。この境界線を正しく理解しておくことは、コスト管理と法令遵守の両面で非常に重要です。
スクラップ(有価物)と産業廃棄物の違い
結論から言うと、判断基準は「経済的な価値があるかどうか」です。
買取業者がお金を払って引き取ってくれる状態のステンレスは「有価物(スクラップ)」として扱われます。有価物の取引は通常の売買契約に基づいて行われ、法的には「産業廃棄物」に該当しません。
一方、油汚れが激しい、泥や塗料で全面が覆われている、他の廃棄物と混合していて分離が困難であるなど、再利用が難しい状態のステンレスは「産業廃棄物(金属くず)」に区分されます。産業廃棄物として処分する場合は、処分費用が発生します。
つまり、同じステンレスであっても、その状態によって「お金をもらえるスクラップ」にも「お金を払う産業廃棄物」にもなり得るのです。前章で解説した異物除去や分別の徹底は、スクラップとしての買取価格を高めるだけでなく、産業廃棄物として処分費用が発生する事態を回避するためにも有効だということです。
マニフェスト(管理票)が必要になるケース
産業廃棄物として金属くずを処分する場合は、廃棄物処理法に基づく「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」の発行と管理が義務付けられています。
マニフェスト制度は、排出事業者が産業廃棄物の流れを最終処分まで追跡・管理するための仕組みです。排出事業者、収集運搬業者、処分業者の三者間で管理票を交付・回収し、適正な処理が行われたことを確認する義務があります。
重要なのは、有価物(スクラップ)として買取業者に売却する場合、マニフェストは不要であるという点です。あくまで買取価格がつかず「廃棄物」として処理を委託する場合に限り、マニフェストの発行義務が生じます。
判断に迷った場合は、まず買取業者に相談してみることをおすすめします。状態が多少悪くても、分別や清掃の対応次第で有価物として買い取ってもらえる場合があります。
失敗しない!信頼できる金属買取業者(スクラップ業者)の選び方
ステンレススクラップを適正な価格で売却するためには、信頼できる買取業者を選ぶことが不可欠です。業者によって提示される買取価格には差がありますし、取引の透明性や法令遵守の姿勢にも大きなばらつきがあります。ここでは、業者選びで失敗しないためのチェックポイントをお伝えします。
買取価格だけでなく計量方法の透明性を確認する
買取業者を比較する際、つい「どこが一番高く買ってくれるか」という価格面だけに目が行きがちです。しかし、それと同じくらい重要なのが「計量方法が透明であるかどうか」です。
信頼できる業者は、持ち込まれたスクラップをお客様の目の前で計量します。トラックスケール(台貫)での計測であれば、荷降ろし前後の車両重量の差分を計算して正味重量を算出しますし、少量の場合はデジタルスケールでその場で量り、数値を確認してもらうのが標準的な対応です。
また、蛍光X線分析装置(ハンディXRF)などの成分分析器を備えている業者であれば、スクラップの鋼種(SUS304かSUS430かなど)をその場で客観的に判定できます。磁石による簡易判別よりも正確な評価が可能であり、適正な買取価格の算出に直結します。
「計量を見せてもらえるか」「分析器を使って鋼種を確認してくれるか」――この2点は、業者に問い合わせる際にぜひ確認しておきたいポイントです。
身分証確認など法令を遵守している業者を選ぶ
金属スクラップの買取業は、古物営業法の適用を受ける場合があります。盗品の売買を防止する目的で、買取時には顔写真付きの身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)の提示が義務付けられています。
したがって、初回の取引で身分証の確認を求めてこない業者は、法令遵守の意識に疑問が残ります。本人確認をしっかり行っている業者は、コンプライアンス体制が整っているという信頼の指標になります。
そのほか、買取業者を選ぶ際のチェックポイントとしては、以下の点が挙げられます。
| チェック項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 計量の透明性 | 目の前で計量してくれるか、計量値を書面で提示するか |
| 成分分析 | 蛍光X線分析装置などで鋼種を判定できるか |
| 本人確認 | 身分証明書の提示を求められるか |
| 許認可 | 古物商許可証や産業廃棄物収集運搬許可を取得しているか |
| 価格の根拠 | 相場に基づいた明確な価格表や算出根拠を提示するか |
| 対応の丁寧さ | 問い合わせへの対応が迅速で、質問に対して誠実に答えるか |
安心して取引するために、複数の業者から見積もりを取り、対応の質や透明性を比較検討することを強くおすすめします。
1冊にまとめました
銅・アルミ・ニッケル・錫・亜鉛・鉛の予測を、仕入れ・販売にそのまま使える形で。
まとめ
本記事では、ステンレススクラップに関する基礎知識から、種類別の買取価値、見分け方、価格相場の仕組み、高く売るためのコツ、産業廃棄物との境界線、信頼できる業者の選び方まで、包括的に解説してまいりました。
改めて要点を整理します。
ステンレスは鉄にクロムやニッケルを添加した合金鋼で、スクラップとしての回収率は80〜90%、ほぼ100%再生利用が可能です。現在のステンレス製品の約60%がリサイクル原料から作られています。
スクラップの買取価格は種類によって大きく異なります。ニッケルを含むオーステナイト系(SUS300番台)は高値で取引され、ニッケルを含まないフェライト系(SUS400番台)は低い価格帯となります。業界では前者を「ステン」、後者を「クロム」と呼び分けています。
高いスクラップと安いスクラップの見分け方は「磁石」が最も手軽です。磁石につかないステンレスは高価な300番台、明確につくものは400番台の可能性が高いと判断できます。製品の刻印「18-8」などもSUS304を示す有力な手がかりです。
高く売るためのコツは、300番台と400番台の確実な分別、プラスチックや鉄などの異物除去、サイズ制限の確認、そして特殊製品の事前仕分けの4点です。分別せずに持ち込むと、安い方の価格でまとめて査定されてしまいます。
買取価格がつかないほど状態が悪いものは「産業廃棄物」となり、処分費用とマニフェストの発行義務が生じます。有価物として売却できる状態を維持することが、コスト面でも有利です。
業者選びでは、買取価格だけでなく、計量方法の透明性、成分分析器の有無、身分証確認の実施など、法令遵守と取引の公正性を総合的に判断してください。
我々、非鉄金属ナビ運営事務局では、ステンレスをはじめとする非鉄金属スクラップの最新価格情報や相場動向を日々発信しています。「ステンレスのスクラップを売却したい」「最新の相場を確認しておきたい」という方は、ぜひ非鉄金属ナビをご活用ください。皆様のお役に立てれば幸いです。

