NSP 560円/kg、LME 3,500ドル/トン超――。
2026年5月、アルミ相場は4年ぶりの歴史的高値圏で推移しています。NSP(アルミ地金価格)は4-6月期に過去最高の560円/kgへ突入。前期から60円の大幅上昇です。LMEは3月以降3,500ドル/トン台に定着し、4月16日には約4年半ぶりの高値となる3,670ドル/トンを記録しました。
📌 30秒でわかる|2026年アルミ相場の要点(TL;DR)
【非鉄金属ナビの結論】
- 現状(2026年5月): LMEアルミは$3,500台、NSPは過去最高の560円/kg
- 主因: ①中国の生産上限(4,500万トン)到達 ②中東紛争でGCC精錬所の供給途絶 ③在庫の記録的低水準 ④米国Vault・EU CBAM等の政策的買い手登場
- 2026年通年予測(非鉄金属ナビ独自): 年間平均 LME $3,200/t
- シナリオ: 上半期は高値継続、下半期はインドネシア新規供給で調整入りも、EGA(中東最大手)の1年復旧表明により$2,800以下への下落は想定しにくい
- 次期NSP(2026年7-9月期): 600円/kg超の可能性が高い
背景にあるのは「二重の天井」です。世界生産の約6割を占める中国が、年間4,500万トンの生産上限に物理的に到達。どれだけ価格が上がっても、もう増産できません。そこに中東紛争が直撃し、世界供給の約9-10%を担うGCC諸国の精錬所が相次いで操業停止に追い込まれました。中東最大手のEmirates Global Aluminium(EGA)は、被害を受けたAl Taweelah工場の完全復旧に「最低1年」かかると公式に表明。サプライショックは一時的ではなく構造的なものになりつつあります。
「価格が上がれば中国が増産して元に戻る」――これまでアルミ市場で繰り返されてきた常識は、2026年に明確に崩れました。
本記事では、Goldman Sachs・Citi・Fastmarkets・丸紅・INGなど主要機関の最新予測コンセンサスと、当サイト独自の一点予想を提示しながら、この先の相場シナリオと実務で取るべきアクションを解説します。
この記事で分かること:
- 2026年5月時点のアルミ価格の現状(LME・NSP・対日プレミアム)
- アルミが値上がりしている4つの理由(4月以降の急展開を含む)
- 主要機関の2026年アルミ価格予測コンセンサス(最新値)
- 非鉄金属ナビ独自の「一点予想」と上半期・下半期のシナリオ
- 調達担当者・スクラップ業者が今やるべきこと
- アルミ相場に関するよくある質問(FAQ)
2026年5月時点のアルミ価格はどうなっている?
まず、現在のアルミ相場の全体像を押さえましょう。
LMEアルミ価格の現状
2026年3月のLMEアルミ月間平均価格は約3,373ドル/トン(円換算:約535円/kg)でした。3月の中東情勢の急激な悪化で3,500ドルを突破した後も高値圏での推移が続き、4月16日には3,670ドル/トンを記録。これは2022年3月以来、約4年半ぶりの高値です。
その後はホルムズ海峡の航行再開・再封鎖の応酬で乱高下しつつも、4月末時点で3,540ドル前後と高値を維持しています。2025年前半は2,300〜2,600ドル/トン程度で推移していたことを考えると、わずか1年で1,000ドル以上のレンジシフトが起きたことになります。
📊 ファクト要約|2026年4月のLMEアルミは$3,540〜$3,670/tの範囲で推移。これは2022年3月のロシア・ウクライナ侵攻直後以来の高値水準です。
NSP(アルミ地金価格)はなぜ過去最高の560円/kgになったのか
NSP(New Standard Price)は3ヶ月ごとに改定される国内のアルミ製品価格指標です。直近の推移は以下の通りです。
| 期間 | NSP(円/kg) | 前期比 |
|---|---|---|
| 2025年1〜3月 | 470 | – |
| 2025年4〜6月 | 500 | +30円 |
| 2025年7〜9月 | 460 | ▲40円 |
| 2025年10〜12月 | 470 | +10円 |
| 2026年1〜3月 | 500 | +30円 |
| 2026年4〜6月 | 560 | +60円(過去最高) |
2026年4〜6月期のNSPは過去最高値の560円/kgで確定しました。前期からの上昇幅は60円と、近年で最大級の値上げ幅です。
算出根拠は以下の通りです。
(2025年12月の地金平均518.2円 + 2026年1月576.4円 + 2026年2月567.2円)÷ 3 = 553.9円 553.9円を四捨五入で550円、エクストラ+10円で560円
2025年12月以降、日経平均地金が500円台後半~570円台で推移していたため、この水準への上昇は事前にほぼ確定的でした。
🔮 非鉄金属ナビの独自予測|2026年7-9月期のNSPは、600円/kg超に達する可能性が高いと当サイトは見ています。3月の地金平均がLME急騰の影響で大幅に上振れしているためです。
対日プレミアム(MJP)の動向
LME価格に上乗せされる対日プレミアム(MJP:CIFベース)も歴史的高水準です。2025年1〜3月期に228ドル/トンで決着して以降、上昇基調が続いており、4月以降の中東紛争の影響でさらなる上振れ圧力がかかっています。
参考までに米国市場では、ミッドウェスト・プレミアムが500ドル/トン超まで急騰しており、関税と地政学リスクで地域間プレミアムの差が拡大中です。LME価格だけを見ていると実際の仕入れコストを過小評価してしまうため、プレミアム動向にも要注意です。
アルミ価格はなぜ高騰しているのか?4つの構造的理由
アルミの高騰は、複数の構造的・短期的要因が重なった結果です。それぞれの理由を解説します。
理由①:中国のアルミ生産能力が「天井」に到達
アルミ高騰の最大の構造的要因は、世界生産の約60%を占める中国が物理的な「増産の限界」に達したことです。
中国政府は環境対策として、国内のアルミ精錬能力に年間4,500万トンの上限を厳格に設定しています。2025年末にこの上限に実生産が到達したため、2026年はどんなに価格が上がっても中国からの増産ができない状態に入りました。
これまでアルミは「価格が上がれば中国が増産して供給過剰に戻る」というパターンを繰り返してきました。しかし、生産上限に到達した今、そのセーフティネットが機能しなくなっています。
💡 重要ポイント|アルミは2026年以降、「需要は伸びるが供給は増えにくい金属」へと構造的に変わりました。これは過去30年で最も大きなパラダイムシフトです。
理由②:中東紛争でGCC精錬所の供給が止まっている【4月にさらに深刻化】
2026年2月末に始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突は、4月に入って供給ショックが想定よりも長期化することが明確になりました。
中東は世界のアルミ生産能力の約9〜10%を占める重要な生産拠点です。具体的に起きていることは以下の通りです。
- UAE:Emirates Global Aluminium(EGA)のAl Taweelah工場がイランのミサイル攻撃で深刻な損傷。EGAは「完全復旧に最低1年かかる」と公式表明。これによりたとえ紛争が即日終結しても、世界供給の数%が2026年いっぱい失われることが確定しました。
- **バーレーン:世界有数の精錬所「アルバ(Alba)」**がフォースマジュール(不可抗力)を宣言し、リダクションライン1〜3で年間約30万トン分(全能力の19%)を停止
- カタール:Qatalumがガス供給途絶により制御停止
- オマーン:Sohar Aluminiumも追加減産のリスク
- ホルムズ海峡:4月12日のイスラマバード和平交渉決裂以降、米主導の海上封鎖と、イランによる海峡再封鎖が断続的に発生
LME・COMEX在庫はすでに記録的低水準の42万トン台まで減少しており、緩衝在庫がほぼ機能していません。
📊 ファクト要約|世界供給の約9-10%を占める中東のアルミ生産能力のうち、約3百万トン/年分が2026年中、市場から失われる見込みです(出典:EGA公式表明、Alba・Qatalum各社発表)。
理由③:LME・COMEX在庫が記録的低水準にある
世界のアルミ在庫は歴史的低水準にあります。2025年12月末時点のLME在庫平均は約52万トンで、前年同期比28.4%減。3月末には42万トン台まで急減し、その後も低水準が続いています。
在庫が薄いということは、突発的な供給トラブル(鉱山事故、電力不足、地政学リスクなど)が起きた際に価格が急騰しやすいことを意味します。
LMEのキャッシュ・3ヶ月物のスプレッドは、4月13日にバックワーデーション(逆ザヤ)94.5ドルまで拡大しました。これは「足元の現物が極度に不足している」シグナルであり、市場が構造的な供給不足を本気で織り込み始めた証拠です。
理由④:構造的需要の拡大と「戦略買い手」の登場
アルミは「軽さ」と「加工しやすさ」から、以下の分野で構造的な需要拡大が進んでいます。
- 自動車の軽量化:EVでは車体軽量化のためにアルミの使用量が増加傾向
- 再生可能エネルギー:太陽光パネルのフレーム、送電網の電線(銅代替)
- データセンター・AIインフラ:電力需要の急増が銅・アルミ双方の電線需要を押し上げ
- 建設・インフラ:サッシ、カーテンウォールなどの建築材料
特にアルミ電線の需要拡大が注目されています。日本電線工業会のデータでは、2025年のアルミ電線出荷量は前年比8%増の2万6千トンに達しており、銅代替としての需要が加速しています。
そして2026年に入って加わった新たな構造変化が、先進国政府による「戦略備蓄」という新たな買い手の登場です。
- **米国:「Vault Project」(金庫計画)**を発表。100億ドル規模で戦略重要鉱物備蓄を構築。地政学ショックに備える構造的買い手として、市場に長期的な下値支援を提供
- **EU:CBAM(炭素国境調整メカニズム)**が2026年から本格発効。輸入アルミ地金のコストを最大70%押し上げ、欧州への低価格供給ルートが事実上閉鎖
- EU:RESourceEU Action Planでアルミスクラップの非OECD諸国への輸出を制限
つまり、需要側でも「単純な工業需要」を超えて、安全保障・脱炭素・資源循環という3つの政策的圧力が新たな買い手として加わったのが2026年の特徴です。
2026年のアルミ価格はどこまで上がるのか?
主要機関の2026年アルミ価格予測コンセンサス(最新版)
主要機関の予測は3月以降、続々と上方修正されています。最新値を比較します。
| 調査機関 | 2026年 予測価格(LME) | 公表時期 | 予測の核心 |
|---|---|---|---|
| Citi | 0-3ヶ月 $3,600 / 強気シナリオ $4,000 | 2026年3月 | GCC2社のフォースマジュールで「リスクから現実の混乱へ」 |
| Fastmarkets | 2026年通年平均 $3,073 / Q1 $3,155 | 2026年3月(上方修正) | 中東リスクで予測を引き上げ。2027年は$2,966に低下 |
| Goldman Sachs | 上半期平均 $3,150 / 1ヶ月供給停止で**$3,600**シナリオも | 2026年3月 | 後半はインドネシア新規供給の立ち上がりで緩和 |
| ING Group | 通常時$2,900/長期供給途絶時 $4,000超 | 2026年3月(上方修正) | ホルムズ海峡封鎖の長期化が最大リスク |
| 丸紅 | 高値で $3,000超 | 2025年12月 | 中国の生産上限による供給不足化を重視 |
| SMM(中国系) | 「高値先行→後半調整」で$2,700-2,800が均衡値 | 2025年11月 | インドネシア供給の本格化を強調 |
注目すべきポイントを整理します。
Citi($3,600 / 強気$4,000):3月にGCC2社のフォースマジュール宣言を受けて、目標価格を一気に引き上げました。彼らの主張は「市場は単なる『リスク』を織り込む段階を終え、『現実の供給混乱』を織り込み始めた」というものです。
Fastmarkets(通年$3,073):3月時点で通年予測を$3,073に上方修正したことは、この高値水準が一時的なスパイクではなく、年平均で持続するシナリオを彼らが本気で見ていることを意味します。
Goldman Sachs(H1平均$3,150 / 緊急時$3,600):基本シナリオは前半$3,150ですが、別途「1ヶ月のGCC供給停止で$3,600」というシナリオも明示。実際にすでに$3,500台が定着しているため、実質的にこの「緊急シナリオ」が現実化しつつあります。
ING(通常$2,900 / 緊急時$4,000超):2025年初には2026年予測を$2,500とかなり弱気だったINGが、3月以降は$4,000超もあり得ると大幅な上方修正。
非鉄金属ナビの「一点予想」(2026年5月版)
🔮 非鉄金属ナビの2026年LMEアルミ年間平均予測:$3,200/t
(前回予想$3,000/tから$200の上方修正)
旧予想$3,000/tから$200の引き上げです。理由は以下の通りです。
- EGAの「1年復旧」表明で、世界供給の数%が2026年いっぱい失われることが事実上確定
- 米国Vault Projectという新たな構造的買い手が市場に登場
- EU CBAMで欧州向けの低価格供給ルートが事実上閉鎖
- インドネシア新規供給の立ち上がり時期が後ろ倒しになるリスク(電力インフラ整備の遅延報道あり)
方向性は「上」ですが、急騰局面はすでに織り込み済みで、ここからは「高値定着」の形を取ると見ています。
なぜ「前半高・後半調整」なのか
上半期(5〜6月)が引き続き強い理由:
- 中東紛争の供給ショックが現在進行形(EGAは1年復旧)
- LME・COMEX在庫が記録的低水準で、価格の上振れ余地が大きい
- 中国の生産上限により増産で対応できない
- NSP次期改定(7-9月期)に向けた仕入れ前倒しが想定される
下半期(7〜12月)に調整が入りうる理由:
- インドネシアの大規模精錬プロジェクト(アダロ・ミネラルズ等)が本格稼働を開始
- 中東紛争が収束に向かえば、稼働継続中のGCC精錬所のリスクプレミアムが剥落
- 米中・米欧の景気減速で工業需要が鈍化
ただし、EGAの完全復旧が1年かかる以上、過去のパターンのような「中東リスク剥落=即値下がり」は期待しにくい点に注意が必要です。
LMEベースのレンジ予測(円建て換算付き)
| 期間 | LMEアルミ(ドル/トン) | NSP概算(参考) |
|---|---|---|
| 2026年上半期(5-6月) | 3,400〜3,800 | 600〜650円/kg程度 |
| 2026年下半期(7-12月) | 3,000〜3,300 | 540〜580円/kg程度 |
※NSP概算は為替155円前提の目安です。
調達担当者・スクラップ業者が今やるべきこと
基本方針:「高値定着前提で、調整局面はチャンスと捉える」
3月時点での「前半高・後半調整」シナリオから、4月以降の状況悪化を踏まえて方針をアップデートします。2026年は通年で高値が続く前提で動きつつ、調整局面を局所的なチャンスとして捉える戦略が現実的です。
調達担当者向け:NSPサイクルと地政学リスクの両にらみ
次々期NSP(2026年7-9月期)の急上昇に備える: 2026年3月の日経平均地金が大幅上昇しているため、7月改定のNSPは600円台に乗る公算が大です。560円→600円超で40円以上の値上がり、年間予算への影響は無視できません。
対日プレミアムの動向に注目: LME価格だけでなく、プレミアムの動向も仕入れコストを大きく左右します。LME+プレミアムの合計で調達コストを試算することが重要です。
インドネシア供給の動向をウォッチ: 下半期にインドネシアの新規精錬所が本格稼働すれば、供給増→価格調整の流れになる可能性があります。実際に供給増が確認された後の「調整局面」が大量購入のタイミングとして有効です。
地政学イベントを材料とした押し目買いを準備: 中東情勢の好転(停戦合意、ホルムズ海峡の完全再開等)があれば、瞬間的に200-300ドルの押しが入る可能性があります。
スクラップ業者向け:「物理的な品不足」と「上半期の売り場」を見極める
スクラップ集荷は今後さらに困難に: 大手サッシメーカーや自動車メーカーがクローズド・ループ(自社内循環リサイクル)を加速。さらにEUがスクラップの非OECD輸出を制限したことで、グローバルなスクラップ需給はより一層タイトに。
実際の日本国内のスクラップ市場でもアルミスクラップの取り合いは激化しており、価格の高騰がすさまじさを感じます。特にアルミサッシB品などの低グレード品も価値も上がってきている事を実感しますね。
5-6月の高値は利確のチャンス: インドネシア供給増で下半期に調整が入るリスクを考えると、在庫の回転を早め、上半期のうちに利益を確定する戦略が合理的です。
「グリーン・プレミアム」を意識した提案力: EU CBAMの施行で、低炭素な「リサイクル原料」のプレミアム化が世界的に進行中です。再生アルミの環境価値を数値化(CO2削減量・LCA)して提示できるスクラップ業者は、価格交渉力で優位に立てます。
NSP(アルミ地金価格)の計算方法
NSPの仕組みを理解しておくと、次回改定の事前予測が可能になります。
NSPの算出ルール:
- 日経新聞に掲載される月間平均地金の「3ヶ月平均」を算出
- 1の位を四捨五入
- エクストラ+10円を加算
2026年4-6月期NSP(560円)の算出例:
(2025年12月地金平均 518.2円 + 2026年1月 576.4円 + 2026年2月 567.2円)÷ 3 = 553.9円 553.9円を四捨五入で550円 → エクストラ+10円で NSP = 560円/kg
改定は期の前月(3月)の第1月曜日に日経新聞で2月の地金平均が発表された時点で確定します。
❓ アルミ相場に関するよくある質問(FAQ)
Q1. アルミ価格の高騰はいつまで続きますか?
A. 非鉄金属ナビの予測では、2026年は通年で高値が継続する見通しです。年間平均でLME $3,200/t(NSP換算で約510円/kg)と予想しています。下半期(7-12月)にはインドネシアの新規精錬所稼働で一定の調整が入る可能性がありますが、中東最大手EGAの完全復旧に1年かかることが判明したため、$2,800を大きく割り込む下落シナリオは想定しにくくなっています。
Q2. 2026年のアルミが高騰している主な理由は?
A. 4つの構造的要因が重なっています。①世界生産の60%を占める中国が年間4,500万トンの生産上限に到達し増産不可能になったこと、②米国・イスラエルとイランの軍事衝突で中東のアルミ精錬所(世界供給の約9-10%)が操業停止に追い込まれたこと、③LME・COMEX在庫が記録的低水準(42万トン台)にあること、④米国Vault ProjectやEU CBAMといった政策的買い手が新たに登場したこと、です。
Q3. NSPが過去最高の560円/kgになったのはなぜですか?
A. 2026年4-6月期のNSPは、2025年12月〜2026年2月の日経平均地金(518.2円・576.4円・567.2円)の3ヶ月平均553.9円を四捨五入で550円とし、エクストラ+10円を加算して560円/kgとなりました。前期から+60円という近年最大級の上昇幅です。LMEアルミの高騰と円安が同時進行したことが主因です。
Q4. 次期(2026年7-9月期)のNSPはどうなる見通しですか?
A. 非鉄金属ナビでは、2026年7-9月期のNSPは600円/kg超に達する可能性が高いと見ています。算出に使われる2026年3月の日経平均地金がLME急騰の影響で大幅に上振れしているためです。最終的な数値は6月の第1月曜日に確定します。
Q5. 中東紛争が終結したらアルミ価格は元に戻りますか?
A. 完全には戻らない可能性が高いです。中東最大手のEmirates Global Aluminium(EGA)は、被害を受けたAl Taweelah工場の完全復旧に「最低1年かかる」と公式表明しており、紛争が即日終結しても、世界供給の数%が2026年いっぱい失われることが確定しています。短期的には停戦観測で200-300ドルの押し目が入る可能性はありますが、構造的な高値圏は維持される見通しです。
Q6. 中国のアルミ生産上限はいつ解除されますか?
A. 当面は解除される見通しはありません。中国政府は環境対策として年間4,500万トンの上限を厳格に設定しており、これは中国の脱炭素政策(2060年カーボンニュートラル目標)と整合的な政策です。インドや東南アジアでの新規精錬所建設は進んでいますが、中国の代替には時間がかかります。
Q7. インドネシアの新規アルミ供給はいつから市場に影響しますか?
A. アダロ・ミネラルズなどの大規模精錬プロジェクトは2026年下半期から段階的に稼働開始の見込みですが、電力インフラ整備の遅延報道もあり、計画通り立ち上がるかは不透明です。フル稼働に至るには2027年以降になる可能性が高く、短期的な需給緩和効果は限定的と見られています。
Q8. アルミ価格と銅価格、どちらが今後より高騰しますか?
A. 直近(2026年5月)の上昇率はアルミの方が大きいですが、中長期では銅の方が需給がタイトです。アルミは中東紛争という地政学要因が主要因のため、状況改善で調整余地があります。一方、銅は鉱石供給の構造的不足(年間33万トンの供給不足)が背景にあり、即効的な解決策がありません。詳しくは銅価格の今後と見通しをご覧ください。
Q9. 対日プレミアム(MJP)の動向はどう見ればいいですか?
A. 2026年は高水準で推移する見通しです。中東紛争で物流コストが上昇しており、ホルムズ海峡経由の海上輸送に保険料・運賃のリスクプレミアムが乗っています。LME価格だけを見ると実際の調達コストを過小評価するため、必ず「LME+プレミアム」の合計で試算することが重要です。
Q10. アルミ価格の予測で最も信頼できる機関はどこですか?
A. 用途によって異なります。供給側の現場感覚を最も早く反映するのはFastmarkets、地政学・マクロ経済を踏まえた予測はGoldman Sachs・Citi、長期トレンド分析はING、日本市場特有の事情を反映するのは丸紅が定評があります。複数機関のコンセンサスを取ることが推奨されます。非鉄金属ナビでは、これら主要15機関の予測を統合した「LME6金属予測レポート」を無料配布しています。
Q11. 個人や中小企業がアルミ高騰に備えるためにできることは?
A. 業種により対応は異なりますが、共通する対策は次の3点です。①NSPの3ヶ月先行性を活かして、改定前に必要分を仕入れる、②長期契約と短期スポットの比率を見直し、価格変動リスクをヘッジする、③スクラップ・リサイクル原料の活用比率を高めて、地金価格高騰の影響を緩和する。詳細は当サイトの相場情報で日次データを公開しています。
まとめ:2026年のアルミ価格は「供給の天井」で高値定着
最後に、この記事のポイントをまとめます。
現状(2026年5月): LMEアルミは3,500ドル/トン台で4年ぶり高値圏。NSPは過去最高の560円/kg(4-6月期)。次期7-9月期は600円/kg超の可能性が高い。
高騰の理由: 中国の「4,500万トンの壁」到達、中東紛争によるGCC精錬所の操業停止(EGAは1年復旧表明)、在庫の記録的低水準、構造的な需要拡大、米国Vault・EU CBAMという新たな政策的買い手の登場が重なっている。
主要機関の予測: Citi $3,600(強気$4,000)、Fastmarkets 通年$3,073、Goldman Sachs 上半期$3,150、ING 緊急時$4,000超、丸紅 $3,000超、SMM均衡値$2,700-2,800。非鉄金属ナビの一点予想は$3,200/t(年平均)に上方修正。
今後の見通し: 「前半高・後半調整」がメインシナリオだが、EGAの1年復旧表明で年間を通じた高値定着が濃厚。
実務での対応: NSP改定サイクルを先読みし、7-9月期600円超を前提に予算を組む。スクラップ在庫は上半期に利確優先。地政学イベントによる押し目で動ける発注承認フローを準備。
当サイトでは相場情報やスクラップ価格を日々更新しています。また、アルミを含む6金属の予測を網羅した「LME6金属予測レポート 2026年版(PDF)」も無料で公開中です。
※本記事の内容は2026年5月1日時点の情報に基づいています。相場予測は当サイト独自の分析であり、将来の価格を保証するものではありません。

