こんにちは。非鉄金属ナビ運営事務局です。
「銅合金にはどんな種類があるの?」「黄銅と青銅はどう違うの?」「自分が扱っているスクラップが何合金か知りたい」――そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
銅は純粋な状態でも優れた特性を持ちますが、産業の現場で使われる銅のほとんどは「合金」です。亜鉛・錫・ニッケルといった元素を加えることで、強度・加工性・耐食性といった特性を自在に調整できるのが銅合金の大きな魅力です。スマートフォンのコネクタ、蛇口の金具、船舶のプロペラ、電気自動車の部品まで、実に多様な場面で活躍しています。
この記事では、JIS規格による体系的な分類を軸に、各銅合金の種類・組成・特徴・代表的な用途を丁寧に解説します。さらに、スクラップとして買い取られる際のグレード基準まで踏み込んでお伝えしますので、仕入れや売却に携わる方にも役立てていただける内容です。ぜひ最後までお読みください。
銅合金とは?まず基本を押さえておこう
銅合金とは、銅(Cu)を主成分とし、1種類以上の元素を添加することで性質を改良した金属材料の総称です。純銅は電気伝導性・熱伝導性・耐食性に優れる一方、「柔らかすぎる」「強度が足りない」「切削しにくい」といった弱点もあります。合金化は、こうした純銅の弱点を補いながら、用途に特化した特性を引き出すための技術です。
銅合金が生まれる理由――純銅だけでは不十分なわけ
純銅(タフピッチ銅)の引張強さは約200〜250 N/mm²程度で、構造部材としてはやや物足りない数値です。ここに亜鉛を加えると引張強さは大幅に増し、錫を加えれば耐海水腐食性が向上し、ニッケルを加えれば美しい光沢と耐摩耗性が生まれます。添加する元素の種類と比率をコントロールすることで、同じ「銅ベース」でありながらまるで別物のような性質を持つ材料が出来上がります。
なお、三菱総合研究所の分析によれば、現行の採掘ペースと埋蔵量を考慮すると、リサイクルを含めても今後50年間で銅の供給量に限界が来る可能性が指摘されています。合金技術で少量の銅から最大限の性能を引き出し、かつリサイクル率を高めることは、資源安全保障の観点からも急務とされています。
合金番号で読み解く!JIS規格の基本ルール
日本では銅および銅合金の材料標準は「JIS規格」で管理されており、「C(Copper)」に続く4桁の数字で合金の種類を識別します。千の位の数字が合金の系統を示しており、おおむね添加元素の種類が増えるにつれて数字が大きくなります。
4桁の数字の後には形状を示すアルファベットが付きます。板材は「P」、線材は「W」、棒材は「B」、管材は「T」です。たとえば「C1100P」であれば「タフピッチ銅の板材」と即座に判断できます。また「質別記号」として焼なましを示す「O」、加工硬化を示す「H」なども付記され、同一合金でも強度や伸びの設計値が変わります。
銅合金の種類一覧|JIS規格C番号別に徹底解説
ここからが本題です。JIS規格のC番号体系に沿って、銅合金の主要な種類を順番に解説します。「自分が扱っている材料がどこに当てはまるか」を確認しながら読み進めていただくと理解が深まるはずです。
純銅系(C1000番台)――最高の導電性を追求した基本材料
C1000番台は純度99.9%以上の純銅、または導電性を損なわない程度の微量元素を添加した希薄合金です。この系統の最大の特徴は、電気・熱の伝導性の高さにあります。
| 合金記号 | 名称 | 主な特徴 | 代表用途 |
|---|---|---|---|
| C1020 | 無酸素銅 | 酸素0.001%以下。水素脆化ゼロ | 電子管・音響機器・超電導関連 |
| C1100 | タフピッチ銅 | 導電率が極めて高く経済的 | 電気配線・ブスバー・スイッチ部品 |
| C1201/C1220 | りん脱酸銅 | 溶接性・深絞り加工性に優れる | 給湯配管・エアコン熱交換器管 |
無酸素銅(C1020)は純度99.96%以上と最高品位ですが、製造コストが高いため高温溶接が必要な電子管や音響機器などの高付加価値部品に限って採用されます。タフピッチ銅(C1100)は流通量が最も多く、一般的な電気伝導材料の主流です。りん脱酸銅はリンを添加して溶接性を高めたもので、給湯器やエアコンの配管として皆様の生活に直接関わっています。
黄銅系(C2000〜C4000番台)――最量産の汎用合金
黄銅(真鍮とも呼ばれます)は銅と亜鉛の二元合金で、銅合金の中でも生産量が最も多い系統です。亜鉛の添加量によって特性が大きく変化するため、C2000〜C4000番台と幅広いバリエーションが揃っています。
C2000番台の普通黄銅では、亜鉛比率30%の「七三黄銅(C2600)」が展延性と絞り加工性に優れ、電球の口金や配線器具に使われます。亜鉛40%の「六四黄銅(C2801)」は強度が高く、建築金物や電機部品の板材として広く流通しています。
C3000番台の快削黄銅(C3601等)は、鉛を組織中に細かく分散させることで切削加工時の切り屑を短く分断し、工具寿命を大幅に延ばします。時計の精密ギア、バルブ、カメラ部品など、複雑な形状を自動旋盤で量産する際に欠かせない合金です。
C4000番台のすず入り黄銅(ネーバル黄銅・C4621等)は、海水中での「脱亜鉛腐食」を錫の添加で抑制した合金で、熱交換器の管板や船舶部品など過酷な水環境での使用を前提とした場面で活躍します。
青銅・特殊合金系(C5000〜C6000番台)――高強度と耐摩耗性の世界
C5000番台のりん青銅は銅・錫・リンの三元合金です。優れたバネ特性と耐疲労性を有しており、電気接点としての信頼性が特に高いことから、モバイル機器のコネクタ、スイッチ、電子楽器のリード、軸受材料として幅広く採用されています。
C6000番台のアルミニウム青銅(C6161・C6280等)は、アルミニウムの添加により表面に強固な酸化皮膜を形成し、極めて高い耐食性と強度を実現します。耐海水性能は銅合金の中でもトップクラスで、船舶のプロペラ、ポンプ部品、化学プラント用部品といった重工業分野の主要材料です。
白銅・洋白系(C7000番台)――美観と耐食性を兼ね備えた合金
C7000番台はニッケルを主成分とします。白銅(C7060・C7150)は銅とニッケルの合金で、海水に対する耐食性が非常に高く、海水淡水化装置や船舶用復水器管として使われています。
洋白(C7521)は銅・亜鉛・ニッケルの三元合金で、銀のような美しい光沢を持ちます。楽器やカトラリー・装飾品への使用に加え、耐疲労性と導電性のバランスの良さから水晶振動子ケースなどの精密電子部品のバネ材料としても重要な役割を担っています。
知っておきたい!高機能特殊銅合金の3種
JIS規格の標準的な系統に加え、極限性能が求められる産業分野では特殊な冶金技術を駆使した「高機能特殊銅合金」が使われています。「時効硬化(析出硬化)」という熱処理現象を活用し、純銅に近い導電性と鋼材に匹敵する強度を両立させているのが共通した特徴です。
コルソン合金・NC合金――強度と導電性を両立した現代合金
コルソン合金は、ニッケル(Ni)とシリコン(Si)を添加し、熱処理によってNi₂Siという金属間化合物を微細に析出させることで強化される合金です。高い強度・熱伝導性・導電性を兼ね備えており、半導体リードフレームや高速コネクタに不可欠な素材となっています。
NC合金はコルソン合金をベースにクロム(Cr)や錫(Sn)を添加して析出強度をさらに高めた改良材です。NC25やNC50といったグレードは「ベリリウムフリー材料」として、プラスチック金型材料や抵抗溶接用電極に採用されています。鋼材に近い硬度(ブリネル硬度HB160以上)を持ちながら鉄の約6〜7倍という高い熱伝導率を有しており、成形サイクルの短縮やエネルギー効率の向上に大きく寄与しています。
ベリリウム銅――最強の銅合金と代替の現状
ベリリウム銅(C1700・C1720)は銅に0.5〜3.0%のベリリウムを添加した合金で、銅合金の中で最高の強度を誇ります。時効硬化処理により引張強さは1,300 N/mm²以上に達し、過酷な環境下のバネ部品・非磁性工具・海底中継器ケースなどに使用されてきました。
ただし、ベリリウムは特定第一種指定化学物質に指定されており、製造工程での粉塵管理が厳格に求められます。近年では環境負荷低減の観点からNC合金などへの代替が着実に進んでいます。スクラップとして取り扱う場合も、成分の事前確認が必要です。
クロム銅・ジルコニウム銅――高温下でも機能を維持する耐熱合金
クロム銅(クロム添加量0.4〜1.2%)とジルコニウム銅は、導電率がIACS 80%前後と極めて高く、かつ高温下での軟化抵抗が強いという特徴を持ちます。スポット溶接用電極・連続鋳造機の鋳型・モーターの整流子など、高温・高負荷の環境で長期信頼性が求められる部品に使われています。
銅合金スクラップの種類と買取グレードの関係
銅合金の種類を理解することは、スクラップ売却の現場でも直接的に役立ちます。合金の種類と純度によって買取グレードが決まり、価格に大きな差が生まれるからです。ここでは実務的な分類基準をお伝えします。
純銅系スクラップの4段階グレード
純銅スクラップは、酸化の程度・サイズ・付着物の有無によって以下のグレードに分類されます。
| グレード | 主な条件 | 代表的な発生源 |
|---|---|---|
| ピカ線(特一号銅線) | 直径1.3mm以上・メッキなし・酸化なし・ハンダ付着なし | 電線くず(被覆除去済み) |
| 一号銅(並銅) | 若干の変色可・大きな付着物なし | 工場端材・板・棒・管の解体くず |
| 二号銅 | 焼けや酸化が目立つ・直径1.3mm未満の細線も含む | 経年使用品・細径電線 |
| 三号銅 | 汚染が進んでいる・薄手材 | 薄板・条・管の混合くず |
ピカ線の検収条件は特に厳しく、錫引き・メッキ・エナメル加工・ハンダ・油の付着・酸化による黒ずみが一切ないことが求められます。「見た目が銅色だから」という理由だけで高グレードを期待するのは禁物で、専門業者による目視・成分分析が不可欠です。
合金スクラップの種類別特徴――真鍮・砲金・洋白
真鍮(黄銅)スクラップの代表は蛇口・バルブ・ネジ・五円硬貨などです。削り粉(ダライ粉)としての流通も多く、油分・水分の含有量が検収に影響します。
砲金(青銅)スクラップは十円硬貨・水道メーター・軸受などが当てはまります。付属品(鉄やプラスチック)の有無によって「上砲金」「込砲金」「メーター砲金」として価格が分かれます。
空調用銅配管(エアコンパイプ)は保温材(皮)の有無が特に重要です。皮を剥いて真鍮ナットを除去したものは純銅としての高価買取が可能となる一方、そのままでは低グレードに分類されます。
また、ヒ素・アンチモン・ビスマスといった「トランプエレメント(不純物)」の混入は製品品質に致命的な影響を与えます。スクラップの持ち込み前に、混在が疑われる合金の種類を確認しておくことが、適正な評価を受けるための第一歩です。
1冊にまとめました
銅・アルミ・ニッケル・錫・亜鉛・鉛の予測を、仕入れ・販売にそのまま使える形で。
よくある質問(FAQ)
銅合金の種類についてよくいただくご質問にお答えします。
Q. 真鍮と青銅は何が違うのですか?
A. どちらも銅合金ですが、添加元素が異なります。真鍮(黄銅)は「銅+亜鉛」の合金で、黄金色の外観と高い加工性が特徴です。一方、青銅は「銅+錫」を基本とする合金で、古代から武具や美術品・軸受材に使われてきた歴史があります。見た目の色は真鍮が黄色みがかっているのに対し、青銅はやや赤みを帯びた茶色です。
Q. C1100とC1020はスクラップとして同じグレードで買取されますか?
A. 理論上はどちらも純銅系ですが、実際の買取現場では混在品として扱われることがほとんどです。ピカ線・一号銅として評価を得るには、合金種の判別よりも「付着物の有無」「酸化の程度」「サイズ基準」のほうが優先されます。成分に不安がある場合は専門業者にご相談ください。
Q. ベリリウム銅を含む廃材を売却する際の注意点は?
A. ベリリウムは特定第一種指定化学物質に指定されており、廃材の処理には法的な取り扱い義務が生じます。一般の非鉄スクラップとは別ルートでの処理が必要なケースもあるため、事前に産業廃棄物の取り扱いに詳しい専門業者に確認することを強くおすすめします。
Q. JISのC番号が分からない材料でも買取してもらえますか?
A. はい、多くの専門業者では蛍光X線分析装置などを用いた成分分析が可能です。「品名が分からない」「記号が消えている」という場合でも成分を確認したうえで適切なグレードに分類してもらえます。ただし、分析に時間がかかる場合や費用が発生する場合もありますので、事前に確認されることをおすすめします。
Q. エアコンの配管に使われている銅パイプは何合金ですか?
A. エアコンの熱交換器管には「りん脱酸銅(C1201・C1220)」が広く使われています。溶接性と熱交換効率に優れた純銅系の材料で、スクラップとしては保温材(被覆)を取り除くことで一号銅相当として高価買取が期待できます。真鍮ナットなどの異種金属が混在しないよう分別することがポイントです。
まとめ
この記事では、銅合金の種類についてJIS規格C番号体系を軸に、純銅系・黄銅系・青銅系・白銅系・高機能特殊合金まで体系的に解説しました。改めて要点を整理します。
銅合金はJIS規格によってC1000〜C7000番台に体系化されており、千の位の数字が合金系統(純銅・黄銅・青銅・白銅など)を示します。純銅系は導電性を最優先した用途に使われ、黄銅系は汎用性・加工性で産業の主力を担います。青銅系は高強度・耐摩耗性、白銅系は美観と耐食性をそれぞれ強みとしています。コルソン合金・NC合金・ベリリウム銅・クロム銅といった高機能特殊合金は、半導体や溶接機器など極限性能が求められる分野を支えています。スクラップとしての評価はグレード(ピカ線・一号銅〜三号銅)と合金種によって大きく異なるため、売却前の分別と確認が価格を左右します。
銅は現在、脱炭素・電化・AI化という三大潮流を支える「戦略的金属」として需要が拡大し続けています。JX金属グループは2040年にリサイクル原料比率50%という目標を掲げており、合金の種類を正確に把握してスクラップを適切に分別・売却することは、資源循環への貢献にもつながります。
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